タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

遺伝子と民族性の関係

 今週月曜から、屋内外を問わずマスク着用は原則不要で、着用は自己判断となっている。しかしながら、メディアから流れて来る情報では、例えば屋外の通勤風景においても7,8割はマスクをしており、『本当に自分の判断なの?』と思ってしまう。ただ、これが日本人の心配症の表れであると考えれば、『まあ、しょうがない』と思うしかない。

 上図はセロトニントランスポータ遺伝子タイプの日米比較である。セロトニン神経伝達物質の一つであり、精神を安定させる働きがある。このセロトニンの分泌に関係するトランスポータ遺伝子が2種類(L型とS型)あり、遺伝子発現タイプとしては3種類(LL、LS、SS)ある。LL型はセロトニン分泌量が多く楽天的な性格の人が多い一方で、SS型では分泌量が少なく不安を感じやすい性格となる。日本人はSS型が2/3もいるが、米国のSS型比率は1/5未満であり、両者の民族性の違いが遺伝子の違いから生まれているのではないかと思ったりする。

 上図は、ドーパミンD4レセプタの違いが性行動にどう影響を及ぼすかを示している。ドーパミンセロトニンと並ぶ神経伝達物質の代表格であり、やる気や幸福感を醸成する。ドーパミンは、「新奇探索性」を高める物質とも考えられており、上図に示す性行動にもあるように、この分泌量が多い人は「新奇探索性」が高い傾向にある。ドーパミン分泌量は、ドーパミンのD4レセプター(DRD4)の遺伝的タイプで決まるが、上図を見ると、DRD4のリピート数が7回以上の人(7R+)と未満の人(7R-)では、性行動に有意の差があることが分かる。

 上図は、日本人と欧米人のDRD4タイプの人口比率を示しており、左列が7回リピート(7R)、中列が7回以上リピート(7R+)を示している。これを見ると、日本人に比べて欧米人の7R+の割合が3,4倍となっており、日本人の慎重さと欧米人の大胆さを対比的に示す結果となっている。
 最近遺伝子解析が進み、性格に影響する遺伝子も色々分かってきた。日本人には酒が弱い遺伝子を持つ人の割合が多く(欧米人は0%)、心配症の遺伝子を持つ人の割合も多い。そして新奇探索をする人も少なく、慎重に石橋を何回も叩きながら着実に行動するタイプが多い。このようにして、遺伝子解析から民族性まで見えてくる時代となってきた。