タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

お酒の話

 今日のテーマは「お酒」。
1.エタノールメタノール代謝経路

 上図にエタノールメタノール代謝経路を示す。エタノールは、お酒の酔う機能を演出する主成分であるが、代謝の途中にアセトアルデヒドを生成し、これが弱毒であるため、あまり深酒が過ぎると二日酔いで頭が痛いという症状を引き起こす。これは、肝臓で行われるアセトアルデヒドの分解作業(解毒作業)が処理能力を超えたため、アセトアルデヒドが体に対し悪さをしていることを示している。
 また、メタノール入りの密造酒については、戦前の日本でも時々あったそうだが、メタノール代謝の途中に強毒ホルムアルデヒドがあることから、これを飲むと、酔いと 中毒が一緒に来ることになる。
2.酔いの科学
 最近のノンアルコール飲料は、以前に比べて随分おいしくなってきた。しかしながら、やはり酔いの気分が味わえないから今一である。そこで、その辺りを調べたら以下のような内容であった。
 ** 酒(エタノール)の身体に対する働き **
 ① 脳の運動制御および自制心を含めた思考制御を混乱させる
 ② 興奮を抑えるように働く物質(GABA)の働きを抑え興奮を高める
 ③ 快の感情を高める物質(ドーパミン)の放出を促し幸福感を醸成する
3.酒豪と下戸の遺伝子
 酒豪か下戸かを決める遺伝子として、アルデヒド脱水素酵素遺伝子がある。人類は元々この遺伝子を持っており、肝臓の中でこの酵素を働かせて、弱毒のアセトアルデヒドを無害な酢酸に分解していた。
 ところが中国南方地方で、この遺伝子が変異して、アルデヒド分解機能を失った人達が一定多数占めるようになってきて、現在に至っている。
遺伝子型は、{強*強}、{強*弱}、{弱*弱}の3種類あり、以下の表が示すように地域により保有者割合が異なる。


 日本人は、縄文人と渡来人の混血により形成されたが、渡来人の一部にアルデヒド分解機能を失った人達がいたため、渡来人を祖先に持つ人が多い県で下戸の割合が多くなっていると想像される。私は今まで、渡来人は華北から朝鮮半島経由で来たと思っていたが、この表は、華南からの渡来人が伊勢神宮熱田神宮を中心とした中京地区に結構な数で移住したことを暗示している。