昨日、今年のノーベル生理学・医学賞が、microRNAを発見した米国のビクター・アンブロス教授、ゲイリー・ラブカン教授に授与されると発表された。昨年のmRNAワクチン(新型コロナワクチン)に続き、RNAの分野で2年連続の受賞となった。今日はmicroRNAとはどんなものであるかを調べた。
上図はmicroRNAの働き方を示している。ざっくり言えば、microRNAとは、遺伝子がタンパク質を生成する過程で制御(抑制)を行う物質ということになる。このmicroRNAの発見のどこが画期的なのであろうか?
DNAには遺伝子コード領域(タンパク質の生成がコードされている領域)と非コード領域があり、ヒトゲノムでのコード領域は僅か1~2%と見積もられている。このmicroRNAが発見されるまでは、DNAの非コード領域は、役に立たないジャンク領域(がらくた領域)だと考えられていた。遺伝子の発現やタンパク質生成過程での制御を行う物質がタンパク質しかないと考えられていた時代に、非コード領域から生成される短鎖のRNAが遺伝子制御(タンパク質生成の抑制)に関与していると解明されたのである。がらくただと思われていたものがちゃんと仕事をしていたのである。正に画期的な発見であった。
世の中には、『何の役に立っているのであろう?』と思われるものがある。しかしながら、そんなものにも ひょっとして意外な働きがあるのかもしれない。
ハマス越境攻撃から1年
ハマスがイスラエルへ越境攻撃を仕掛け、約1200人を殺害してから今日で1年が経過した。この1年間のイスラエルによるハマス攻撃により、ハマスの弱体化は進んだが、拉致された人質の解放はほとんど進んでいない。イスラエルに対する国際世論は厳しくなる一方だが、生命の安全が保障できないイスラエル国民がハマスの殲滅を訴える気持ちは良く理解できる。
上図は、中東諸国の経済と政治を横にらみしたものである。左の4ヶ国(オレンジ色)は豊かな国であり、右の6ヶ国(水色)は貧しい国である。世間では、イスラエルとハマスとの争いを、「イスラエルvsアラブ」の構図で捉えることもあるが、間違いである。イスラエルは、イランを後ろ盾とするテロ集団(ハマス、ヒズボラ)と戦っているのであって、アラブと戦っているわけではない。このグループの親分となるイランが、イスラム教の法学者を最高指導者とするイスラム原理主義の国であって、国民の貧困化に目を向けず核開発に邁進する国である(北朝鮮と良く似ている)。であるから、イスラエルは中東における貧困な非民主勢力と戦っていると言っても良い。これが理解できると、イスラエルがたとえハマスを叩いても、後ろ盾のイランがいる以上、いずれ新たな反イスラエル集団に悩まされることになることが想像できる。
私は、イランという国自体が悪いと言っているわけではない。悪いのは、イスラム原理主義に凝り固まったイランの政治体制である。近代化を欧米化と称して拒否し、国民を豊かにすることを第一目的と考えない政治体制の国に明るい未来はない。まあ、国が貧しいままで良いと考えるのは、その国の勝手だから責められることではないが、他国の貧困層を支援してテロ行為を扇動するのはもってのほかである。
さて、ウクライナ vs ロシアの争い と イスラエル vs(ハマス、ヒズボラ、イラン)の争いの間には類似点がある。民主主義国 対 非民主主義国との争いとなっている点である。世界は今、ロシア、中国、北朝鮮、イランを枢軸とする非民主国とG7を中核とする民主主義国が対立する構図となっている。そしてここに悩ましい問題がある。本来なら、民主主義国側を一方的に応援すれば良いのだが、そう単純には済まされないのである。民衆の総意として実施された民主主義国の決定事項が、必ずしも正義とは言えないのである。
もしトラでの戦争終結計画を想像する
中東情勢が緊迫している。イランがイスラエルにミサイル攻撃を仕掛け、イスラエルがレバノンへ侵攻した。バイデン政権が誕生し、アフガニスタンからの米軍撤退時に大失態を演じて以降、戦火が絶えず戦闘状態が常態化してきた。トランプ大統領候補は、記者団に、ウクライナ戦争を24時間以内に解決すると述べたそうだ。今日は、トランプならどんな手を使ってロシアとウクライナを停戦合意に持ち込めるかを考えてみた。
1.停戦案
-1.領土
2022年2月のロシアが侵攻する前の境界線を国境と定める
・クリミアはロシア領とする
・ロシアが侵攻し戦争状態にある東部4州はウクライナ領とする
-2.付帯条件
・ウクライナがNATOに加盟しないことを誓約する
・ロシアがウクライナへ侵攻しないことを誓約する
2.交渉の進め方
停戦内容はウクライナにとってもロシアにとっても受け入れられない部分が含まれている。
-1.ウクライナに対して
・ウクライナは「クリミヤが戻らなければ戦争終結はできない」と主張する。
トランプは「我慢しろ、この案が飲めなければ米国は今後支援を止める」と突き返す。
・ウクライナは「誓約してもロシアは約束を破り将来必ず侵攻する」と主張する。
トランプは「停戦成立後、米国とウクライナで安全保障条約を結べば良い」と密約する。
-2.ロシアに対して
・プーチンは「全く受け入れできない案だ」と拒否する
・トランプは「停戦案が拒否されたなら、米国は長距離射程ミサイルのロシア領内攻撃を許可する」と脅す
・プーチンは「そんなことをされたら、ロシアは核使用も辞さない」と脅す
・トランプは「撃てるものなら撃ってみろ、もし撃ったなら米国は通常兵器でロシアの核施設を殲滅させる」と応える
・トランプは「もしこの案が飲めないなら、ロシアはクリミヤさえも失うことになる」と許諾を勧める
・トランプは「この案が飲めなくても、いつでも再交渉の窓口は開いている」と再交渉の可能性が残っていることを示す
3.交渉決裂と戦闘再開
・停戦案はウクライナ側は承諾したがロシア側は拒否した。
・交渉決裂後戦闘は再開された。
・ウクライナは長距離射程ミサイルを使いクリミヤ大橋を爆破し、内陸経由のクリミヤへの補給路も徹底的に破壊した。
・1ヶ月が過ぎクリミヤの孤立状況が深刻になった頃、プーチンから再交渉の依頼がトランプに入った。
レゾンデートル(仏 raison d'être:存在意義)
石破政権の基本方針起動修正が始まった。史上最短の解散総選挙の表明に始まり、裏金問題に発する政治とカネの問題解決には及び腰、事件に関係した議員を公認するかについてもYes/Noで答えず、NATO構想については就任した岩谷外相が「時間を掛けて中期的に検討すべき」と積極的に進める気がないことを表明した。
さて、軌道修正されたが、修正された方向性は妥当であると私は考える。まず、政治とカネの問題だが、野党はこれを最重要課題と称して争点化したいのが見え見えであるが、この問題に集中して国会論戦に時間を掛けても、国民の幸福度合いが上がらないことは誰もが予想できる。国民が第一に期待する政策は物価高対策であろう。あるいは、給料が物価以上に上がるよう欲っしているかもしれない。もし、「あなたが新政権に期待する第一優先課題は何ですか?」とアンケートした場合、「政治とカネの問題の解決」が「物価高対策」や「景気対策」の上に来るはずがない。そもそも政治とは、国民の鬱憤を晴らすことが第一優先であって良いはずないのである。
石破氏は、自民党の中でずっと非主流派であった。どうも、非主流派の中で、主流派の政策に異を唱えることを美学とでも思っていたように思える。非主流派に異を唱えることで自分の存在意義が辛うじて確保できていたのである。ところが、自分が首相になったとたん、回り中から「あなたの考えは間違いで封印すべし」と言われてしまった。今までの存在意義が否定されたのである。
野党も自身の存在意義を「自民党政権を批判すること」と考えているように思える。政治とカネの問題は、政権を非難するには恰好の攻撃材料になる。実を言えば、物価高対策にもなり景気浮揚策にもなる最良の政策がある。消費税率の引下げである。立憲民主党が「消費税率を5%に下げインボイス制度も撤廃する」と国民に訴え総選挙を戦えば、大半の国民は賛同して、目標とする与党過半数割れに持ち込めるかもしれない。しかしながら、消費税率アップを主導した野田代表と消費税は25%に上げても良いと言っている小川幹事長が中核となる立憲民主党がそんな公約を掲げられるはずがない。
メディアも、自身の存在意義を「政権を批判すること」と思っているようである。特に保守系政権(例えば安倍政権)に対する非難は凄まじい。「保守」と「リベラル」を並べたら、メディアは必ず「リベラル」を応援し「保守」を非難する。彼らの頭の中には、「リベラル」=進歩的=絶対的な善 で、「保守」=時代遅れ=絶対的な悪 と見なす思考回路が組み込まれているように思える。
政治とは、色々な考えを持つ国民の幸福の総和を最大にすることが第1目的ではなかろうか。少数派の意見を多数派も許容できる政策があるなら(例えば、夫婦の姓に関する通称使用)幸福の総和を最大にすることができる。石破氏も野党もメディアも、自らの存在意義を「国民の幸福の最大化」として働いて欲しいものである。
P.S. 石破氏の変節をマーケットが好感(自説を撤回すれば皆良くなる)
石破首相は2日に日銀総裁と会談し、現在は利上げをするような環境ではないことを確認した。自説を曲げ、高市氏の「こんな時に利上げをするのはアホや」の発言を追認した。これを受け、マーケットは好転した。
今日から下期
今日10月1日は都民の日。東京で会社勤めをしていた頃は、この日は子供たちが友達同士でディズニーランドへ遊びに行く日であった。私にとっては下期が始まる日であったわけだが、「上期を締める」ような仕事をしていなかった私にとっては、単なる通過点でしかなかった。
上は、拙宅の庭で満開となった彼岸花と、その手前で可憐に咲いたシュウメイギクである。今年は秋の訪れが遅れていて、例年この時期に香りを漂わせる金木犀も開花はもう少し先になりそうである。
上は今朝の収穫で、今年は家庭菜園に植えた2株のナスがまだまだ元気に実を付けている。今日は良く晴れて日本海にある低気圧に向かって南風が吹き込みフェーン現象となるから、30℃近くまで気温が上がるだろう。衣替えはまだ先になりそうである。
石破政権多難な門出の予兆
本日の日経平均株価は前営業日より1910円安い37,920円で終了した。マーケットは、これから船出する石破政権に「ノー」と突き付けた。証券マンや投資家は皆『高市さんが総裁になっていたなら真逆の結果になっていたであろうに』と悔やんでいる。ただ、下図を見ても分かるように、下げ幅は8月5日の大暴落に比べれば軽微であり、株価は今後、新政権の舵取りを見ながらこの水準で上下することになると思われる。(たった一人の人間に潰されるほど日本経済は柔ではない)。
石破総裁は本日、衆院選を「10月15日公示、27日投開票」と発表した。総裁選の討論会で小泉進次郎氏に対し「早期解散は如何なものか」と窘めた石破氏が、掌を返すように早期解散・総選挙を表明したのである。全くもって、この人には節操がない。風貌から愚直な人にも見えるが、とんでもない。前言を翻しても平気であり、愚鈍な変節漢と言った方が当たらずとも遠からずであろう。
富山1区では、衆院議員の田畑裕明氏が政治資金パーティー案内状に「ご入金のみ」欄を設けたことが問題になって、自民党富山市連が揉めている。来たる衆院選で田畑氏を推すかについて、一旦はアンケート調査を行い党員の意見を聞こうとなったが、支部長会議で「アンケートは行わない」と決まった。ところが、蜷川支部が独自にアンケートを実施して、その結果が本日判明し、田畑氏を衆院選で推さないとの回答が過半数を占めたとのこと(支部長会議では田畑氏を推すことに決定しているのだが)。
自民党員が怒っている。自民党員を辞めようとしている人も多数いるらしい。高市さんに総務会長の椅子を断られ、党内議員もまとめることができない石破さんが、全国の党員をまとめられるはずがない。石破政権の前途は多難である。
高市総裁誕生ならず
本日の自民党総裁選で石破茂氏が選出され、私が推していた高市早苗さんは決選投票まで行ったものの、惜しくも敗れ去った。誠に残念である。高市さんの方があらゆる面で石破氏より能力が上であるのに、その辺りの見極めができない自民党国会議員の投票行動が、玉石混交の中から、玉ではなく石の方を選ぶ結果となった。
マーケットは直ぐに反応した。上図は日経平均株価の動向である。決戦投票の結果が判明した3時20分には東証は既に営業を終了していたが、海外先物にて日経平均株価が大暴落し、石破氏の経済運営に対する不安感を如実に表す結果となった。週明けの株式市場が実際どうなるか心配である。
上図は為替の推移であるが、「まだまだ金融緩和を続けるべきで利上げをすべきではない」と言っていた高市さんが優勢と伝えられていた時は円安傾向にあったが、銀行出身で利上げが好きな石破氏が総裁と決まったとたん一気に円高に振れた。ご本人は、強い日本経済復活には「円高」が必要だと思っているのであろうか? 確かに、経済は多数の要素が絡み合うので、利上げが必要な場合もあるだろう。でも今は違う。総理になるためには、もう少し経済の勉強をしてもらいたいものである。とにかくこの人は、主張が変わる人であり、信念をもって事を為す人ではないようだ。内閣支持率も上がらないまま、解散総選挙で惨敗すれば、短命政権で終わるかもしれない。
P.S. 石破氏の政策について
・アジア版NATO
「自由で開かれたインド太平洋」という基本戦略は既に確立している。これを、多国間の安全保障協定に格上げするには、まずは憲法改正をしなければならない。絵空事を唱えるだけのリーダーには、誰も付いてこないのである。
・新しい資本主義
岸田首相が提唱して、直ぐに引っ込めた政策。石破氏も選挙期間中に金融課税を口にして、直ぐにトーンダウンした。とにかく課税強化ばかり言っているので、財務省の広告塔になるのは必定。
・防災省
省庁新設より、まずは能登半島地震に対し補正予算を組み、「地方を見捨てない」という強いメッセージを発するべきだろう。予備費で良いとは、既に財務省の犬に成り下がっている。