タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

隣の芝生は本当に青いか?

 米国の金利が下がらないのは、米国経済が力強くてCPIが再上昇の気配を見せ、景気のリセッションどころか再加熱の可能性もあるからだと言われている。

 上図は、米国における空室率を表しているが、現在、持ち家においても賃貸においても空室率が異常に低く、この物件の少なさ(供給量不足)のため、住宅価格や賃貸料が高騰している。長男が住むオクラホマ州はトウモロコシ畑が広がる米国の田舎であるが、私と妻が訪れた2018年頃は、一戸建ての住宅価格が3000万円ほどで、富山市郊外の一戸建てと似たような価格だと感じた。ところが、先日息子から聞いた話によれば、この5,6年の間に回りの家は7000万円ほどに値上がりしたという。米国では、子供たちの成長に合わせて、家を何回も住み替え、そしてその度にローンを組み直すという。長男は今、この住み替えができなくて困っている。

 上図は米国住宅ローン金利の推移を表す。これを見ると、ここ1,2年の金利が7%ぐらいで高止まりになっていることが分かる。こんな高金利ではローンの組み換えができない。これはつまり、住み替えができないことを意味する。そうなると、中古物件が市場に提供されなくなり、それが物件の値上がりに輪をかける。金利が高いから新規住宅建設も低調のまま。そして新規も中古も購入できなければ賃貸しかなくなり、これが賃貸料の高騰を招く結果となっている。FRBは物価上昇を抑えるため高金利政策を継続しているが、こと住居費に関しては、金利を上げたため供給量不足となり、これが返って物価上昇を助長する結果となっている。
 米国では日本の2倍の給料がもらえると聞き、さぞや豊かな生活ができるだろうと想像する。しかしながら、たとえ2倍の収入があろうとも、住宅価格が2倍で金利が7%となると、住宅ローンの月々の返済額は4倍に跳ね上がる。日本と米国でどちらが豊かな生活を送れるか分からない。私の眼には、米国オクラホマの一戸建てで暮らす長男と千葉のマンションで暮らす次男が、豊かさの観点から「似たようなもの」に見えてくる。