タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

ロシア・ルーブルの下落状況

 8月23日のブログでロシア・ルーブルが暴落していると書いた。今日はそこから3週間過ぎた現状況を調べてみた。

 上図は、ロシア・ルーブルの対ドル為替レートの推移を、特にここ3週間の動きを拡大して示している。ロシアは下落する一方のルーブルを防衛すべく、8月15日に政策金利を8.5%から12%へ引き上げ、8月23日の時点ではその効果もあり小康状態にあった。ところが、その後ルーブル安が再燃し、たまりかねたロシア政府はどうも最近為替介入に走ったみたいである。
 さて、日本も円安、ロシアもルーブル安で為替の状況は良く似ているのだが、中身は全然違う。日本の円安は、米国高金利と日本低金利金利差が主因であるが、一方でロシア・ルーブルは、政策金利を12%と米国金利をはるかに超える高金利にしたにも関わらずのルーブル安である。これはルーブルの価値(信用)が無くなってきていることを示している。そしてこんな状態になると、政策金利を上げてもロシアに資金が流れて来なくなる。そこで為替介入(手元のドルを売ってルーブルを買う)が最後の通貨防衛手段となってくる。
 ただ、こんな状態で為替介入しても通貨防衛できず、最終的にロシア・ルーブルは更に下落して奈落の底へ沈んでいくことになる。何故通貨防衛できないのか? 答えは、為替介入ではロシア政府が保有するドルを売ることになるが、ただでさえ不足しているドルを売ってしまうと、手元のドルが枯渇してしまう。そして、こういうロシアの窮状を察知した投機筋が、ルーブル先物空売り攻勢を仕掛けて来るからである。投機筋は手元にルーブルが無くても「ルーブル先物売り」の注文を出し、その期日になった時点で更に安くなったルーブルを買って売り注文に宛て、差額を儲けることができる。すなわちルーブルは今、投機筋の恰好の餌食になってしまったのである。
 ロシア経済が今後ボロボロになっても、プーチンウクライナ戦争を止めないだろう。ロシア国民の大半はプーチンを支持しており、経済がダメになり生活が困窮しても、『ペレストロイカでロシアが混乱した時よりマシ』と思う人が大勢いるに違いない。来年3月の大統領選挙ではプーチンが再選されるであろう。
 さてそうなると、停戦はいつになるのであろうか? 最近、ウクライナの反転攻勢がようやく目に見える形で進展し出したが、まだまだ停戦の形が見えて来ない。