タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

花粉症発症メカニズム(分子レベル)

 ここ最近の陽気で、今年も花粉症の症状が出て来た。鼻水が出るし目が痒い。花粉症については昨年2/24のブログで書いているが、抗体と細胞(マスト細胞)レベルでの調査結果となっていたので、今日は分子レベルまで掘り下げて調べてみた。
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 上図は花粉症の発症メカニズムを示す。抗原を捕らえたIgE抗体がマスト細胞と結合すると、マスト細胞はヒスタミン等の物質を細胞外へ放出し、この化学物質がアレルギー症状を引き起こす。ここまでが昨年の調査レベルである。 
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 上図はマスト細胞内の反応経路を示す。抗原を捕らえたIgE抗体はマスト細胞のFcε受容体と結合する。すると複数のシグナル伝達分子の反応を経て、シグナルがDOCK5蛋白質へ伝達される。DOCK5はNck2やAktといった別の分子と会合し、GSK3βの働きをコントロールして微小管を成長させる。すると微小管を通って細胞内の分泌顆粒が細胞表面へ輸送され、顆粒の中に含まれるヒスタミンなどの化学物質が細胞外へ放出される。
 この研究成果は、遺伝子操作でDOCK5ノックアウトマウスを使った実験により得られた。この成果は、花粉症対策において、原因物質の働きを抑える薬(抗ヒスタミン薬)ばかりでなく、原因物質の発生そのものを抑える薬に対して開発の道を開いた。
 最近の遺伝子操作技術の進歩により、新型コロナウイルスの遺伝子解析もスピーディに実施できるようになったし、mRNAワクチンなど創薬の分野も日進月歩で進歩して来ている。この創薬の分野で日本は欧米の最先端企業から周回遅れの状況にあると言われている。産学共同でのベンチャービジネスへ投資が集まるようにならないものかと思う次第である。

 ここ最近、免疫系や感覚細胞の働く仕組みを調査してきたが、生物体内での情報伝達の仕組みが実に複雑かつ精緻にできていることが分かった。生命の神秘は限りなく深くまだまだ見通せない。