先週金曜日にコロナワクチンの3回目接種をした。今回は翌日土曜日の朝から微熱が出て、夜には38.4度まで上がったが、幸い日曜の朝には平熱に戻った。今回の3回目接種では、モデルナワクチンの接種量が半分になっているのに、それでも丸一日寝込んだわけだから、『ファイザーよりもモデルナの方が副反応が出易い』という話は本当だと思った。ただ、副反応は若者の方に出易いという傾向もあるとのことなので、そういう意味では、何だかちょっと嬉しい気にもなった。
さて今日は、免疫の進化について調べてみた。我々を病原体から守る免役の仕組みがどう獲得され改善されてきたかである。
上図は、免疫の仕組みを自然免疫と獲得免疫に分け、獲得免疫が脊椎動物への進化の中で備わったことを示している。この獲得免疫の仕組みでキーとなるのが、MHC、免疫グロブリン、T細胞受容体の3つである。
この3つを2/11のブログで示した図(下図)で説明すると、MHCとはヒトではHLA(ヒト白血球抗原、図中ピンク)と呼ばれているもので、自己と非自己の違いを表し、感染物質(抗原)の提示を行う。免疫グロブリンとは図中⑧に示される抗体を意味する。T細胞受容体はTCR(T Cell Receptor、図中グリーン)と呼ばれるものでMHC分子に結合した抗原分子を認識する。
このような複雑な仕組みを一度に(1回の突然変異で)獲得できそうにもないのだが、この一足飛びの進化の背景には、以下の図にあるトランスポゾンの感染があると考えられている。
トランスポゾンとはゲノム上を移動する遺伝子であるが、この図で意味するトランスポゾンの感染は、外部からゲノムへの遺伝子挿入(ウイルス感染によりウイルスが持っていた遺伝子がゲノムに挿入された)を意味する。
いやはやびっくりである。新型コロナウイルス・パンデミックで悪の権化と見なされているウイルスであるが、一方で、そのウイルスから我々を守る獲得免疫の仕組みが、ウイルスにより持ち込まれた遺伝子により構築されていたのである。
上図には、「トランスポゾンの感染による遺伝子再構成系の獲得」とある。
上図は7/7のブログで示した遺伝子再構成の概念図である。この仕組みは、「何千万種類とも何億種類とも考えられる膨大な数の抗原種のそれぞれに、選択的・特異的に対応できる抗体を高々数万種類の遺伝子でどのように産み出せるか」の答えとなる。この難問の解に辿り着いたのが利根川進博士であり、この功績に対しノーベル賞が授与された。