タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

類人猿の血液型

 昨日、ヒトと類人猿の違いを調査していた中で面白い記事を見つけた。今日は血液型の話である。f:id:TatsuyaYokohori:20220217142810p:plain
 上図は進化系統樹の中に血液型を付記したものである。見ての通り各属ばらばらで、しかも進化の方向性が見えない。図中に表記の血液型は表現型であるが、遺伝子型で表せば、A型、B型、O型の3種類であり、それぞれに対応するA型遺伝子、B型遺伝子、O型遺伝子がある。上図を見て不思議に思うのは、ゴリラ属においてはA型遺伝子が消えたように見え、チンパンジー属においてはB型遺伝子が消えたように見え、ヒト属において、それらが復活したように見える点である。それで、そもそも血液型とはどういうものかを調べた。  

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 上図はWikipediaに掲載されていた図であるが、赤血球が新型コロナウイルスのように書いてあって、血液型の違いが新型コロナウイルスのスパイク蛋白質の違いのように書いてある。この赤血球から飛び出た部分を詳細に書いたのが下図である。f:id:TatsuyaYokohori:20220217143650p:plain
 赤血球細胞膜の表面には糖鎖が飛び出ていて、その先端には抗原が付加されている。A型赤血球にはA抗原(N-アセチルガラクトサミン)、B型赤血球にはB抗原(ガラクトース)、AB型には両方付加されており、O型には付加されてない。そして、A型遺伝子とはA抗原を付加する酵素の設計図、B型遺伝子とはB抗原を付加する酵素の設計図、O型遺伝子とは付加する機能を失った(働かないように制御された)遺伝子となる。

 このような基本的な知識に基づき、再度、血液型の進化の意味を考えたが、先に結論を言えば分からなかった。ヒトを見ている限り、血液型の違いで進化の推進力(生き残り易さ、繁殖力の強さ)になるようなものが見当たらない。血液型によって病気になり難さの違いが多少はあるのかも知れないと思う程度である(注)。「進化」ではなく単なる「変化」にしか見えないのである。

(注)血液型別かかり易い病気
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P.S.
日本人の血液型は、A型:38.2%、O型:30.5%、B型:21.9%、AB型:9.4% の割合である。これは表現型の割合だが、遺伝子型の割合を計算してみた。
A型遺伝子の割合をA、B型をB、O型をO として連立方程式を作ると
 A+B+O=1.0
 O*O  =0.305
 2*A*B=0.094
これを解いて、A=0.2766、B=0.1716、O=0.5523 となる。
何とO型遺伝子の割合が55.23%と半分以上になった。因みにA型とB型を遺伝子型の割合で表すと以下のようになる。
 A型 : AA型(7.65%)+AO型(30.55%)=(38.2%)
 B型 : BB型(2.94%)+BO型(18.95%)=(21.9%)