タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

プベルル酸という聞きなれない物質が腎臓を傷める

小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、原因物質として「プベルル酸」という聞きなれない物質が候補に挙がっている。プベルル酸は青カビの一種の代謝産物から見つかった天然化合物。プベルル酸の毒性は、皮下投与によるマウス実験では、5mg/kg × 2回(1日1回を2日間)の投与で5匹中4匹が3日目まで死亡するというから、強力な毒性を持つようである。

 上図はプベルル酸とベンゼン環物質の比較である。ベンゼン環は6角の炭素環を基本構造とした、聞き慣れてありふれた物質が多いが、プベルル酸はなんと7角の炭素環になっている。こんな構造物質があるのを初めて知った。
 お昼のTV情報番組で、プベルル酸が腎臓にどのようにして害を与えるか説明していたので、以下におさらいの意味で説明図を作った。

 ヒトの腎臓は、毎日150リットルの原尿を作り、その内の99%を再吸収して、残りの1%を尿として排泄している。これはつまり、尿として排泄される過程において、排泄物質は100倍に濃縮されていることを意味する。毒性があるプベルル酸を長期間摂取すれば、たとえその量が少量でも、腎臓の尿細管で100倍に濃縮されることにより、この組織を痛めてしまう。プベルル酸が腎臓に障害を与える理由は、腎臓が持つこの「100倍濃縮機能」にあるみたいだ。