タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

尿酸とプリン体

 私は昨年5月に痛風を発症したが、検査で尿酸値が8.3と基準値(7.0)を大幅に超えていることが分かったため、それ以降尿酸値を下げる薬を飲んで定期健診を続けている。先日の定期健診でその尿酸値がようやく基準値内(6.7)に入った。誠に喜ばしいことだが、尿酸値が下がったのは薬のお陰であり、食事療法(プリン体食品を控える)だけで下がったとは言えないので、薬は継続して服用することになった。今日は尿酸とプリン体について調べてみた。
1.プリン体とは
 プリン体とは何かネットで調べると、最近医療健康分野にも進出している食品飲料メーカのサイトには以下のように書いてあった。
 「プリン体とは、多くの人が体にとって悪いものと思っていますが、生物の細胞中に含まれる遺伝子の構成成分で、生命活動に必要なものです。私たちは日頃の食事を通して、プリン体を摂取していますが、食事だけではなく、実はプリン体の8割(1日に約500㎎)は、体内で生成されているのです。」
 なるほど、一般大衆向けには分かり易い説明になっていると思ったが、プリン体の定義を示していないので、その辺りを調べてみた。ウイキペディアには以下のように書いてある。
 「プリン塩基(プリンえんき、英: purine base)は、プリン骨格を持った核酸塩基である。つまり、プリン環を基本骨格とする生体物質で核酸あるいはアルカロイド塩基性物質である。プリン体(プリンたい)とも総称される。」
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上図はDNA(核酸)を構成する4塩基を示している。この中でアデニングアニンはプリン骨格を持つのでプリン体となる。f:id:TatsuyaYokohori:20220202114315p:plain
 上図は体内でエネルギー通貨として働くADPとATPを示す。双方ともプリン骨格を有するプリン体である。
2.どんな食品がプリン体を多く含むか?
 プリン体がどんなものかの基本を理解すれば応用が効く。DNA(核酸)を多く含む食品はプリン体が多い。つまり、次世代へ命を繋ぐ遺伝情報の塊食品(卵、種)にはプリン体が多い。また、筋肉細胞はエネルギー消費が多いためATPを多く含む。また、細胞がぎっしり詰まっているため、この細胞の核内に含まれるプリン体も多い。つまり肉類はプリン体が多い食品になる。
 ①卵にはDNAと孵化するまでの栄養分が含まれている。鶏卵と魚卵を比べると、一つの卵に含まれるDNA量は鶏卵(鳥類)と魚卵(魚類)で大差無い。一方で卵の重量のほとんどは栄養分であり、この栄養分の重量は、鶏卵>魚卵 となる。よって単位重量当たりのプリン体量は、鶏卵は極少、イクラはやや多い、カズノコは多い となる。
 ②酒類の原料となる米や麦の胚の部分にもDNAが多く含まれている。日本酒を作る時はこの胚(米ぬか)を削ぎ落す。大吟醸ともなれば胚の部分はほぼ無くなりプリン体はゼロに近い。一方でビールは、麦の胚の部分も含めて醸造するからプリン体を含んで出来上がる。ウイスキー蒸留酒であり揮発成分だけになるので、プリン体を含まない。
 ③肉には牛、豚、魚を問わず、筋肉部分に一定量プリン体が含まれる。赤身には細胞が詰まっており、脂身を含む白身よりプリン体が多い
3.薬の働き
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 上図はプリン体が尿酸へ変換される代謝経路を示している。プリン体はキサンチンに変換され、キサンチンオキシターゼにて尿酸へ変換される。今飲んでいる薬は、キサンチンオキシターゼの働きを抑える阻害薬である。こんな薬を飲むと体内にキサンチンが溜まってしまうのじゃないかと懸念するのだが、ここまで半年この薬を飲んで問題無いし、まあ心配ないだろうと思う次第である。