タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

尿酸の役割

 今日は先週「深掘り課題」とした尿酸について更に調べてみた。
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 上図はプリン体代謝経路を示しており、生物によってプリン体代謝の最終産物が異なることが分かる。これを見ると、最終代謝産物を尿酸としているのは霊長類と鳥類のみで、他の生物は尿酸尿酸酸化酵素でアラントインに変換している。
 霊長類以外の多くの哺乳類が尿酸酸化酵素を働かせてアライトインを最終産物としているので、これは進化の途上で霊長類が尿酸酸化酵素を喪失したことを意味する。それではなぜ霊長類は尿酸酸化酵素を喪失するように進化したのであろうか?
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 上図は、ヒトへの進化の過程で生じた2つの突然変異を示している。一つ目は、曲鼻亜目と直鼻亜目が分岐する起点となったビタミンC合成酵素の喪失である。原始の猿類も樹木上で果実を主食としていたため、体内でビタミンCを合成する必要は無かった。このため、ビタミンC合成酵素を喪失する突然変異は進化にとって不利にはならなかった。二つ目の突然変異は尿酸酸化酵素の喪失で、これがサルと霊長類の分岐点となった。
 ビタミンCは抗酸化物質であり、体内でこれが足りなくなると、身体を傷つける活性化酸素を直ぐに無毒化できなくなる。霊長類へ進化する過程で、食物からビタミンCを十分摂取できる間は良かったが、その状態が崩れ始めると抗酸化物質である尿酸がビタミンCの代替品になってきた。つまり、尿酸酸化酵素を喪失することが進化の推進力として働くことになった。
 尿酸値を上げることは抗酸化レベルを上げることにつながる。実際、進化の過程で尿酸レベルは徐々に上がっており、人類は尿酸レベルを上げることで長い寿命を手に入れることができた。
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 今日は痛風の原因となる尿酸がヒトにとっては重要な物質であることが分かった。プリン体食品の過剰な摂取は良くないが、尿酸値は許容範囲で極力高レベルを維持したいと思った次第である。