タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

福井県で発見された恐竜

 一昨日、福井県で発見された新種の小型恐竜「フクイベナートル」が鳥類に近い系統の「テリジノサウルス類」に分類されたというニュースを目にした。今日はその辺りを調べてみた。
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 上図左は鳥類に近いと確認されたフクイベナートル、右が福井県を恐竜県として有名にしたフクイラプトルである。フクイベナートルの前足には翼が生えていて、確かに鳥類への進化の途中であると思える。
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 上図は恐竜から鳥類への進化の系統樹である。今回、フクイベナートルはこの図上方のテリジノサウルス類に分類された。フクイラプトルはその上のティラノサウルス類の方に近い(注)。この図は一番下の鳥類までの進化を表している。こう見ると鳥類は恐竜の進化の果ての生き残りだと分かる。
 フクイベナートルは福井県勝山市北谷町にある白亜紀前期の手取層群赤岩亜層群北谷層から発見された。この地層は、放射性同位体年代測定により約1億2700万年から約1億1500万年前のものと見られている。
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 上図はフクイベナートルが生きていた頃の大陸の状況である。白亜紀前期、南北アメリカ大陸とアフリカ大陸は既に分離していたが、インド大陸(赤)はアジア大陸にぶつかる前であり、ヒマラヤ山脈はまだできていなかった。また、日本列島がアジア大陸から分離したのは1700万年前であり、この白亜紀前期においては、日本列島はまだアジア大陸の一部であった。従ってフクイベナートルは、アジア大陸で土中に埋まって化石となり、大陸から分離した日本列島の地層に埋まったまま東方へ移動し、1億数千万年後に福井県の山間の町で発見されたことになる。

 今日は1億数千万年のタイムトラベルを楽しんだ。

(注)フクイラプトルは約1億2700万年から約1億1500万年前の化石、一方ティラノサウルスが栄えたのは約6,800万年前から 約6,600万年前と考えられており、フクイラプトルが属する獣脚類恐竜の中のある属種が数千万年の時を経てティラノサウルスへ進化したと考えられている。

P.S.
 映画ジュラシックパークでも有名なティラノサウルスが栄えたのは、ジュラ紀ではなく白亜紀で、しかも前期ではなく末期である。因みに白亜紀は英語でCretaceous periodと呼び、映画興行的なネーミングとしては、やはりジュラ紀ジュラ紀 Jurassic period)の方が良かったのであろうと想像する。