タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

地球誕生時の猛毒な海の浄化

 昨日のブログでは、地球誕生後に月が生まれ、スノーラインの外側にあった氷塵の微惑星に乗って水が運ばれ、地球に大気と海洋が形成されたところまで話した。しかしながら、できた海は猛毒の海であった。今日は、その海がどのように浄化され、生命が誕生できる環境へ変わっていったかを見ていく。
1.プレートテクトニクスの始まり
 43億7000万年~42億年前、地球は何度も小惑星や隕石と衝突し海洋を形成していったが、衝突の度にマントルがリバウンドし、上昇するマントルが対流を引き起こした。こうしてできたマントル対流が、中央海嶺を形成し始めた。

海嶺でマグマが固化すると海洋地殻が形成され、その時に、海洋地殻表層部と海水が化学反応することによって含水鉱物が作られ、含水海洋地殻が形成された。また、海嶺深部から上昇するマントルがプレートを押し上げるため、プレートは自己重力によって滑り始め、プレートテクトニクスが開始した。

 大陸プレートより重い海洋プレートはその下に沈み込んでいった。
2.海洋の浄化

 風化侵食運搬作用によって陸上から海に運ばれた砂や泥などの堆積物は、超酸性の海水と反応し、徐々に海を中和させていった。
 海嶺や島弧で循環する熱水と岩石の反応によって、海水中の金属イオンが析出し重金属鉱床(図中黒丸)が形成された。猛毒海洋を作っていた重金属イオンが海水から除去され、プレートテクトニクスによってマントル深部に輸送され、海は次第に浄化されていった。
 一方、大気中のCO2と反応して大陸上で形成された炭酸塩鉱物(図中黄丸)は、風化侵食作用の後海洋に運搬され海底に堆積し、プレートテクトニクスによってマントル深部に運ばれた。
3.磁気バリアの形成

 プレートテクトニクスによって削り取られた原初大陸はコアに向かって落下していった。原初大陸には放射性同位元素が多く含まれていたため、自己発熱してコアの上部を溶かしていった。そして42億年前頃までには、コア上部が溶け流動的になり、液体の外核ができた。
 液体の外核ができると、強い磁場が生まれ、地球の表層環境を守るバリアとなり、有害な太陽風(注)にさらされることがなくなった。

 このようにして海が浄化されたことで、生命誕生への障害が取り除かれ、また磁気バリアができたことで、生命にとってより安全な地球へと変化した。

(注)太陽風の95%が水素イオン(=水素原子核=陽子)であり、従って太陽風は「高速の陽子ビーム」と見なすことができる。