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全球凍結(Snowball Earth)

 上図は、丸山茂徳著「地球と生命の誕生と進化」の中に書いてあった図を書き写したものだが、興味深いことが沢山書いてある。中でも原生代に全球凍結という期間があったと記されており、今日はこの「全球凍結」について調べた。
 全球凍結(英: Snowball Earth)とは、地球全体が赤道付近も含め完全に氷床や海氷に覆われた状態である。1992年にカリフォルニア工科大学のジョセフ・カーシュヴィンク教授がアイデアとして専門誌に発表するまでは、地球がそんな時代を経験したとは誰も想像だにしなかった。その後の研究・調査により、現在においては、この説が主流となっている。
1.全球凍結の要因

 温室効果ガスの減少
 上図は地球のエネルギー収支を表している。地球は、太陽からのエネルギー量100を受け、宇宙空間へ反射30と地球放射70を返すことで収支が釣り合っている。全球凍結に至る第一の要因は、図の右端に示す「大気から地表への放射(103)」の減少である。これは温室効果ガスの減少により もたらされる。
 ②太陽から地表への放射量減少
 図の中央に示す「太陽から地表への放射(20)」は、大気中に太陽光を遮る物質が増えると減少する。今から6500万年前にメキシコのユカタン半島に落ちた巨大隕石は、塵や岩石を大気中に舞い上げ、太陽光が数年間遮断され、結果恐竜絶滅に至ったと言われている。また、超新星爆発による宇宙線増加が大気中の塵を分解し、これが雲核となって太陽光を遮ることもある。
 ③地表から宇宙空間への反射の増加
 図の左端に示す「地表から宇宙空間への反射(4)」は、氷床や海氷の増加によりもたらされる。この要因は正のフィードバックとして働き、すなわち、寒冷化が始まると氷床や海氷が増え、氷床や海氷は太陽光をより多く反射するから、より一層寒冷化が進む。
 従って、①あるいは②の要因で寒冷化がある程度進むと、要因③が働き出して、寒冷化が一気に進むことになる。
2.全球凍結時代と状況
 地球は原生代初期のヒューロニアン氷河時代最終期(約23億 - 約22億2200万年前)と、原生代末期のスターチアン氷河時代(7億3000 - 7億年前)およびマリノアン氷河時代(約6億6500万年前 - 約6億3500万年前)に全球凍結した。一旦全球凍結すると、地表は赤道付近でも-40℃となり、温室効果ガスが多少増えても全球凍結から抜け出すことができなくなる。(全球凍結から抜け出すには、二酸化炭素濃度が現在の数百倍必要)
3.全球溶解の要因
 現在、全球凍結から抜け出した要因として2つ考えられている。
 温室効果ガスの蓄積
 長期間の火山活動により温室効果ガス(二酸化炭素)が蓄積された。全球凍結期間は二酸化炭素が植物の光合成により減少することが無く、また海氷に覆われた海へ溶け込むこともないため、二酸化炭素は溜まる一方となる。数百万年かけて、二酸化炭素が氷床溶解レベルまでに達した。
 ②巨大隕石の落下
 オーストラリア西部にある幅70kmのクレーターは、22億年前に隕石が衝突して形成された。隕石が衝突した際、1000億トン以上の水蒸気が大気中に放出されたと研究チームは考えている。水蒸気(温室効果ガス)の放出により、地球が温められ、全球溶解に至った。