タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

生命の起源

 今読んでいる本「地球外生命」(小林憲正著)の中に興味深い図があったので書き写した。

 この図の中で、各生物が最も繁殖しやすい温度が赤字で示されているが、系統樹の根幹付近に記された生物の最適温度が高いことが分かる。こんな状況を背景にして、生命が最初に生まれた場所を海底熱水噴出孔とする説が有力である。この本によれば、生命の起源を探る方法として二つあるとのこと。一つは、この図で示すように、現存する生物のDNA解析から系統樹を遡り、生命の起源となった生物がどのようなものだったかを探る方法である。あと一つは、物質からどのように化学的に進化して生物が生まれたかを探る方法である。この方法では、生物が誕生した頃の地球がどんな環境であったかが重要なポイントの一つとなる。生物が生まれたのは、およそ38億年前と考えられており、この頃の地球には遊離酸素が無かった。二酸化炭素(炭素と結合した酸素)はあったが、酸素分子として炭素から分離した形になっていなかった。こんな環境で生命が生まれたわけだから、初めての生物は嫌気性(エレルギー代謝で酸素を必要としない)であり、酸素はむしろ毒として忌避されていた。このように考えると、嫌気性の古細菌の先祖で好高温のものが、海底熱水噴出孔付近で生まれて、全生物共通の祖先となったと考えることは、有力な一つの説に思える。
 上図が示すもう一つ大事なポイントは、「生命の起源」と「最後の共通の祖先」は異なるかもしれないと見ている点である。生命の誕生は一回のみで、生まれた生命がその後進化して現在の全生物に繋がっているのか、それとも、生命の誕生は何回もあったが、誕生と絶滅を繰り返し、たまたま良い環境の時に生まれた生命が絶滅を免れ、「最後の共通の祖先」となって現在まで命が引き繋がれているのか、誰も分からない。