タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

再帰新星さそり座Uが12年ぶりに爆発

 さそり座Uは再帰新星(反復新星、回帰新星)の一つで、約10年ごとに爆発を繰り返して明るくなるタイプの天体だそうである。最近では1987年、1999年に増光が観測され、前回最後の増光は2010年1月だった。今回の増光を発見したのは長崎県変光星観測者、森山雅行さんで、6月6日の22時34分に撮影したときには17.3等以下で見えなかったが、7日2時17分に撮影した画像に11.4等で写っているのを発見、その後7日3時33分に9.2等で、さらに海外の変光星観測者らによって8等まで増光したことが確認された。

 それにしても、天体マニアの情熱には頭が下がる。森山さんは10年に一度の爆発の瞬間を捉えようと、毎晩観測されているのだろうか? 今回は丁度日本が深夜の時に爆発したので、日本人が発見の栄誉を手にできラッキーだった。爆発の様子を捉えた森山さんは、「見えなかった星が突如、輝く。それを見ているのは世界で自分だけかもしれないというのはとても感動的だった」と話している。

 上図は再帰新星が爆発するメカニズムの解説図である。白色矮星と低温の伴星(図の赤色星)が近接で連星関係にある場合、赤色星から白色矮星へ絶えずガスが流れ込み、白色矮星表面に降り積もったガスがある程度の量になった時点で、爆発的な核燃焼を起こし新星爆発となる。
 こんな星がどのように形成されるかを、太陽を例に説明する。もし、太陽系の中心部に太陽が2つあって、2星の中間点を中心に連星として公転していたとする。生まれてから70億年も経てば、太陽は核融合反応で水素を燃やし尽くしてしまい、今度はできたヘリウムの核融合が始まり炭素や酸素が生成される。太陽が巨大な星ではない場合、中心部の温度が炭素を核融合させる温度まで達しないため、ヘリウムを燃やし尽くした時点で核融合反応は止まり、太陽は外層を放出して、コアに炭素と酸素が高密度に集積した白色矮星になる。このようにして、2つあった太陽の一方が白色矮星に、他方が赤色星として残り、再帰新星の誕生となる。

P.S.
 先日、はやぶさ2が持ち帰った砂の中からアミノ酸が検出されたとニュースになったが、アミノ酸を構成する炭素も窒素も酸素も水素も、宇宙のいたるところに存在する。宇宙には、生命誕生に必要な素材が十分あることになる。