タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

クジラの未来

 淀川河口付近で息を引き取ったマッコウクジラが、紀伊水道沖に沈められ海に還って行った。体長15m、体重38トン、その巨体には改めて驚かされる。ティラノサウルスが最大全長約13メートル、最大体重約9トンと言われており、オスのマッコウクジラの平均はそれよりでかい。シロナガスクジラはそれより更にでかいので、中生代の恐竜よりでかい生き物が、新生代の今も現に生きていることになる。

 上図はクジラへの進化系統樹であるが、クジラは、偶蹄類とクジラの共通祖先から、最初にラクダ類、次にブタ類、シカ・キリン類と分岐し、最後にカバ類と分岐したことが最近の遺伝子解析にて明らかとなった。海から陸に上がった爬虫類が哺乳類へと進化し、その哺乳類がまた海へと戻り大繁栄したことになる。ただ巨大化したのは、この500万年間程度の割と短期間での出来事らしい。巨大化することで捕食され難くなり、生き延びる可能性が増す。そして、その巨大な体を維持するのに十分な食料さえあれば、サイズがどんどん大きくなる方向へと進化するみたいである。巨大化した時のデメリットとして暑さ対策をどうするかという問題があり、象は大きな耳を放熱板として使っているが、クジラの場合、熱伝導の良い水中での暮らしが巨大化のデメリットを和らげてくれているようだ。
 ただ、私はやはりクジラの未来が心配だ。巨大化したものは、いつかは滅びる運命にあるからだ。巨大化は進化の袋小路に入っていると言える。一旦巨大化したものは、そのサイズを落とす方向へは進化し難い。そんな状態の時に、環境が食料減の方向へ変われば、巨大化した種の個体数が減っていく。元来巨大化したものは、食料が十分ある時も個体数が少ない傾向にあるので、食料減の期間がしばらく続けば、一挙に絶滅の道へと進むことになる。