タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

幸先良いスタートとなった春闘

 昨日は春闘の集中回答日となり、大方の予想通り満額回答が相次いだ。日本製鉄にいたっては、労組の要求(ベア月3万円)を上回る3万5000円の回答が示され、定期昇給などを含めた賃上げ率は14.2%になった。誠に明るいニュースとなったわけだが、喜んでばかりいられない。昨日は大手の回答日で幸先良いスタートとなっただけであり、これから始まる中小の回答が同じような結果になるとは限らない。というか、中小の賃上げ率が大手より下がるのはほぼ確実なので、むしろこれからの中小の動向が今年の春闘の大勢を決めると言っても良い。

 上図はJAM(ものづくり産業労働組合:ゼンキン連合全国金属機械労働組合が前身)が調査した「大手と中小の賃金格差」である。これを見ると大手と中小に賃金格差があり、特に30歳時点の格差がこの23年間で3倍に開いてしまったことが分かる。
 最近、この中小企業にとって明るいニュースがあった。日産が公取委から下請法違反の勧告を受けたのである。日産という有名大企業が勧告されたのだから、日本の大企業には激震が走ったに違いない。そして直ちに、旧態然となっていた従来の慣行を見直し始めたはずである。当然、親会社へ納入する部品の価格交渉においても、下請け側の意見が尊重されることになる。つまりこれは、今まで大企業に偏っていた利益配分が、より下層の下請け側に回ることを意味する。
 今年は、労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)が上がり始める予感がする。このまま春闘が順調に推移すれば良いと思った次第である。