タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

短期金利の行方

 今日は今後短期金利がどのように推移するか考えてみた。

 上図は、日銀のマイナス金利解除の観測が流れた先々週の時点で示した金利曲線(イールドカーブ)の現状である。この時点では、「マイナス金利」の解除だけが観測筋に流れたが、先週火曜日の日銀発表では、①マイナス金利解除 に加えて、②イールドカーブコントロールの終了、③日本株ETFやREITの買い入れ終了 までも表明された。因みに、②のイールドカーブコントロールとは長期金利を制御することであり、上図が示すように、今まで日銀は10年物国債を低利率で買い取る(=高値で指値買いする)ことで長期金利が低利率になるようコントロールしていた。
 さて、今日のテーマの短期金利については、下図の方針が示されている。

 無担保コールオーバーナイト物 とは、コール市場における無担保での資金貸借のうち、約定日に資金の受払を行い、翌営業日を返済期日とするものにかかる金利である。日銀は今後、この一番短い短期金利を従来よりおよそ0.1%程度の利上げで収まるように誘導するみたいである。これはつまり、日銀から市中銀行へ貸出す短期金利がゼロ金利であり、日銀は、このゼロ金利政策については、しばらく継続する姿勢であることを意味する。
 さて次に、日銀は今後どの程度「短期金利」を上げる可能性があるかを考えてみる。

 上図は賃金と物価と政策金利の推移を表す。日銀はここまで、2%の「物価安定の目標」を掲げ異次元の金融緩和を続けてきた。図を見ると、2022年23年の物価上昇率が2%を上回ったが、ここ最近はその上昇も落ち着いて来て24年中に2%を再度割り込む可能性も出てきた。つまり、現時点では、まだ安定的に2%を維持できるか見通せる状態ではない。あーそれなのに、金融緩和解除の判断に踏み切ったのは、春闘序盤戦の満額回答続出の好調な流れが、重大決心の後押しをしたのであろう。しかし、いくら日本の大企業の業績が好調でも、中小企業の中には業績の良くないところが多々あるので、日本全体を平均すれば、3%のベースアップには届かないだろう。そうなると、賃金上昇が牽引するデマンドプルインフレ(賃金と物価の好循環)には成り得ず、向こう1年間は物価上昇率も2%のラインを上下するであろう。そしてこの物価動向を受け、日銀はこのままの低金利状態(上げても0.1%)を続けるものと予想される。
 短期金利が0.1%上がれば、これは住宅ローン変動金利の0.1%アップに繋がる。この利率アップは、3000万円のローンで、月々2千円程度のアップになるだろうが、ローンが組めるぐらいの人(銀行審査で合格となる人)の給与はこの春3%以上は上がると期待されるので、この程度(0.1%)の利上げなら、大きな問題にはならないと思われる。
 今日の結論としては、「今後の短期金利は、0.1%程度の ほぼゼロ金利状態 が向こう1年程度は続く」と私は予想する。