タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

今後為替レートはどう動く?

 今日は、今後為替がどのように推移するかを考えてみた。先週、日銀が異次元金融緩和の終了を表明したが、為替は現在、予想に反して円安方向に動いている。この理由は、「異次元」が取れたただけで「金融緩和」自身は継続するので、『ひょっとして金利が上がるのでは?』との観測から円高に振れた変化分が元の状態まで戻ったからだと解釈できる。また、これに加えて、米国のFRB政策金利の据え置きを決定したことが更なる円安へと導いた。
 現在為替レートは、日米の金利差で動いている。貿易収支の赤字黒字で為替レートが上下する時代は終わってしまった。そんな円ドル交換実需の金額をはるかに超える大量のマネーが、為替差益や金利差益を求めて飛び回っている。従って、今後の為替の推移を占うには、日米の金利差が今後どう変化するかを予想することが必要になる。

 上図は米国の消費者物価指数(CPI)の推移を表す。最近の物価指数は3%台で落ち着いており、インフレは収まったのでもう金利を下げても良い頃だと思われる。しかしながら米国FRBは3月の会合でも政策金利の据え置きを決定した。どうも、インフレ再燃を気にしているようである。

 上図は米国のPCE(個人消費支出)デフレータを示し、青線が対前年比、赤線が3ヶ月前比を年率換算したものである。このPCEも消費者物価指数(CPI)と似たような傾向を示すが、こちらは消費力の強さを表し、従ってデマンドプルインフレの勢いを示す指標となる。FRBはこの指標を重視し政策決定しているようであり、今年に入り赤線が反転の傾向を見せているので、現在利下げに踏み切れない状況になっているようだ。ただ、今年中には利下げに向かうであろう。
 それでは次に、もし日米の金利差が無い場合、為替レートはどのくらいで落ち着くのか考える。為替レートとは通貨の交換比率であり、この比率は双方の総量の比で決まると仮定する。

 上図は日米マネタリーベースの比較であるが、日本のマネタリーベース680兆円を米国のマネタリーベース5.5兆ドルで割ると 123.6円/ドル となり、為替レートとしてはそこそこもっともらしい値が算出される。(因みに、購買力平価での為替レートは108円/ドル)。
 さて、これらを総合して今日の結論としては、「向こう1年間で日米の金利差が現在の5.5%が1.5%程度縮小し、為替レートは現状より7~8円((152-123.6)*1.5/5.5)程度円高に振れる」と予想する

P.S.
 本日円安が進んで、2022年10月につけた1ドル=151円94銭をさらに下回り、1990年7月以来、約34年ぶりの安値を更新した。いよいよ、投機筋と財務省天才トレーダが真っ向勝負する場面となってきた。日本は変動相場制の国であり、為替介入は基本的にはやらない方針の国である。そんな日本に許される為替介入は、投機的な動きを窘める程度のものに限定されている。よって、天才トレーダは、ここぞという機会を見計らって強烈なパンチ(円買いドル売り)を一発ぶちかます。投機筋もこの辺りのやり取りは心得ているので、為替介入が入ったと気付いた瞬間あっさり引き下がり、日本側の防衛ラインを知り、以降はそのラインを超えない範囲で取引を行うことになる。
 今仮に、為替レートが 152円/ドル、日本のオーバーナイト物金利が0.1%、米国が5%として、日本で152万円借りてドルに両替し、米国銀行に1日預けたとする。その時の利子は1万ドル*0.05/365=1.37ドルであり、この利子を含めて翌日には10001.37ドルの金額に増えている。ところが翌日の為替レートが1円 円高の151円/ドルになっていたとしたら、この金額は円換算で1,510,207円となり9,793円も目減りした値となる。この試算で分かるように、天才トレーダがぶちかますパンチは1円の円高になるぐらいの円買いドル売り介入で十分である。後は、その介入に気付いた投機筋が雪崩を打つように自らドル売りに走ることになり、投機的な過度の円安が是正されることになる。