タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

兆円が躍るこの頃

 昨日、トヨタの2024年3月期 第2四半期決算が発表され、下表に示す驚異的な通期見通しも明らかになった。

 営業益が4.50兆円、経常益が5.55兆円、最終益が3.95兆円と、日本の企業として過去最高となる〇〇兆円の値が並んでいる。また、注目すべきは修正率であって、たとえば最終益は、5月に発表した通期見通しから53.1%も上振れしている。この主な要因は円安であり、トヨタは通期の社内為替レートを、平均 125円/ドル から 141円/ドルへ変更した。
 最近政治の世界では、「税収増の国民への還元」が議論されている。総額が5兆円程度と言われており、トヨタの年間利益と同程度の規模となる。実際、2022年度の税収が72兆円程度でほぼ確定しており、これに対して、昨年11月補正予算時点での税収見込みが68.4兆円だったため、2022年度の税収は、差し引き(実績-見込み)3.6兆円上振れしたことになる。
 さて、今年はいよいよ失われた30年が終わり、2%の物価安定目標を達成して、デフレにおさらばする年になろうとしている。この時期にもう一つダメ押しの景気刺激策が欲しいものである。

 上表は日本の外貨準備高を示す。日本の現時点での外貨準備高は約1.2兆ドルで、1ドル150円で換算して185兆円となる。この外貨準備には、ここ2年ほどの円安(2年前は1ドル110円)により、48兆円もの為替差益が生じている。これを管理している財務省は、円安で資産評価額が増えてウハウハが止まらない。ウハウハはまだある。外貨準備の大半は米国国債であり、毎年4%程度の利子がつく。これは、1ドル150円で換算して毎年 5.8兆円の利子がつく計算になる。円安と物価高で苦しむ家計には、円安でぼろ儲けとなっている外為特別会計から、ほんの僅かでも円安還元金を回せば良いのではないだろうか。そしてこの還元策により、日本は、物価は上昇するがそれ以上に賃金が上がる、普通に経済発展する国へと歩み始めるのではなかろうか。

P.S.
 外貨準備とは、各国の通貨当局の管理下にある、直ちに利用可能な対外資産のことであり、通貨当局が急激な為替相場の変動を抑制するとき(為替介入)や、他国に対する外貨建債務の返済が困難になったときなどに用いられる。日本においては、後者に対する需要は最近は皆無であり、前者に対する需要も無いことはないが、こんな膨大な量の資金は必要としてない。理由は、日本は基本的には変動相場制の国であり、為替介入は投機的な理由による急激な為替変動をたしなめる程度の措置と位置付けられているからである。このようにして、現在、膨らんでしまった外貨準備高は、関係筋にとっては「埋蔵金」と見なされている。