タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

日本経済の行方

 昨日の日経平均株価終値で3万8487円と史上最高値に迫るところまで来た。一方で一昨日発表されたGDP速報(10月~12月)では、実質成長率がマイナス0.1%と冴えない値となった。2023年のGDPがドイツに抜かれて世界第4位になったとのニュースも流れており、株価のみが景気良く踊り、実体経済は低迷したままのように見える。
 ただ、経済環境はこの1年でデフレ経済からインフレ経済に大きく姿を変えた。

 上図は、内閣府が発表した資料からの抜粋であるが、2023年の名目GDP成長率が5.7%と高率となったことが分かる。物価上昇率が3.8%で実質成長率が1.9%、経営者にとっては売り上げが増えて利益が拡大する実に望ましい経済環境になっているわけだから、今後の利益拡大期待も膨らみ株価が上がるのも当然だと思える。(中国の投資家にとっては、国内の悲惨な経済環境に比べたら、日本経済はとてもおいしい投資先に見えることであろう)。
 さて、そうは言っても実質賃金は22ヶ月間連続でマイナスとなっているのだから、庶民の暮らしは苦しいままで明るい兆しが見えない。庶民にも景気の良さが分かるようになるには、春闘で少なくとも4%以上のベースアップが実現されなければならない。現在のコストプッシュインフレを、賃金が上がって個人消費が経済を引っ張るデマンドプルインフレに変えていく必要があるわけだ。
 このインフレ経済では、企業ばかりでなく政府もお金が儲かり笑いが止まらない。税収は名目GDPにほぼ比例して増えるので、2023年の税収は2022年に対して5.7%も増えることになる。現在の税収をざっくり70兆円とすれば、5.7%の成長率は約4兆円の税収増を意味する。そしてこれは、政府が民間からお金を吸い上げることで、政府が富み民間が貧乏になることを意味する。政府は、このインフレ経済への変化を正しく理解し、「少子化対策支援金で一人当たり月500円弱の医療費負担増」なんて馬鹿なことを言わないで欲しいものだ。