タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

日本経済を長期低迷に追い込んだ犯人判明

 「MMTのポイントがよくわかる本」を読んでいたら、日本経済を長期低迷(失われた20年、30年)に追い込んだ犯人が書いてあった。
 1.主犯財務省および日本政府
 2.罪状財務省は、プライマリーバランスの均衡化がデフレ時代の誤った政策であることに気付かず、自らの信条である「財政健全化」のため、政府やその周辺の政治家を丸め込み、消費税を何度も上げ、緊縮財政を続けた結果、日本経済をGDPが30年も伸びない(給料も上がらない)長期低迷時代へと追い込んだ。本人に悪気があったわけではないが、ザイム真理教という間違った教えを信じ込み、国民に長期にわたり苦難を強いたと同時に、日本を普通の中流国に落とし込んだ罪は重い。
 3.罪状説明

 上記は、日本のGDP、財政支出、マネタリーベース、政策金利の推移を表す。この図は、1990年初頭からGDP(黒実践)がまったく伸びてないことを示している。また、GDPと財政支出こげ茶破線)がほぼ同一の動きで推移していることが分かる。これは、財政支出伸び率とGDP伸び率の間に、強い正の相関関係があることを示す証拠となる。この両者の伸び率の関係については、先日のブログで既に示しているが(証拠2)(2023/11/7ブログのグラフ:GDP成長率 VS 政府支出成長率 参照) 、この相関関係から必然的に、「GDPが伸びなかった原因は政府が財政支出を増やして来なかったから」と結論付けることができる。
 4.アベノミクスの検証
 第二次安倍政権発足(2012年12月)から始まったアベノミクスは、黒田日銀総裁による異次元の金融緩和により、雇用環境は改善(失業率低下)し、為替レートが円安に動いた結果、輸出企業の業績回復と、日経平均株価の上昇を招く結果となった。しかしながらデフレからの完全脱却には至らず、GDPも伸びないままであった。上図を見ると、この理由の一端が垣間見える。バブルがはじけた1990年代初頭から、GDPの伸びとマネタリーベース(灰色破線)の伸びが乖離するようになってきた。マネタリーベースとは日本銀行市中銀行の間で取引されるお金の総量を示すが、この乖離は、マネタリーベースを増やしても、市中(市中銀行と民間の間)で取引されるお金の量が増えなくなってきたことを意味する。そしてこれは、バブル崩壊後の不良債権処理時代に企業経営が守りに入ったため、市中銀行にいくらじゃぶじゃぶとお金を投入しても、貸出先の企業が増えず、市中の貨幣流通量も増えなかったことを意味する。このデフレの時代、通常の国であれば、金融緩和と財政出動により乗り切ることが常道策になるのだが、日本では、アベノミクスの第一の矢による「金融緩和」だけが行われ、第二の矢である「機動的な財政政策」が、財務省の抵抗のため不十分のまま終わってしまった。そして、復興増税や2回もの消費増税が長期低迷に追い打ちをかけたのである。デフレの時代は需給ギャップが大きく、これを埋める新規需要を産み出してくれるのは、政府の財政出動しか無かったのであるが、日本政府の政策は、需要を増やす財政出動が不十分のまま、需要を減らす増税を何回も行い、経済を徹底的に痛めつけてしまった。

安倍晋三 回顧録」(中央公論新社)には、財務省に関する不信感が書き連ねてあり、「彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない」とまで書いてある。この財務省がついに岸田政権倒閣へと動き始めた。税収増の国民還元としての所得減税を閣議決定したにもかかわらず、主役の鈴木財務大臣が「過去の税収増分は使用済み」と国会で答弁したのである。これは、「減税」というザイム真理教の教義に反する言葉を口にした岸田首相をいよいよ財務省が見限ったとも読み取れる。政局に目が離せなくなってきた。