タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

来年度予算を緊縮型にする悪政

 昨日、来年度予算案の調整状況が報道され、一般会計総額が112兆700億円程度(今年度は114兆3800億円)と緊縮型になる見通しが示された。インフレ経済の何たるかを知らない財務省がまとめた予算案に、思わずため息が出た。だいたい、今年の物価上昇率が3%程度なのだから、今年度予算にプラス3%(プラス3.3兆円)してはじめて今年度並みになるところを、2兆円も削減したら緊縮型になってしまう。来年こそ デフレから完全に脱却し、給料が上がる成長経済に移行する大事な年になると言うのに、財務省も、岸田首相や鈴木財務大臣をはじめとする財務省族議員たちも、日本を貧困に落とし込む政策を次から次へ仕掛けて来る。
 報道するマスメディアも経済が分かってないから、財務省から渡された解説記事をそのまま国民へ垂れ流す。であるから、「過去最大だった今年度の当初予算は下回るものの」と一応の前置きをしたあと、「2年連続で110兆円を超え」とか「財源の3割以上を国債に頼る厳しい財政状況が続く」と財務省が主張したい「財政状況は厳しい」というところを国民に刷り込もうとする。
 日本国民はいい加減 目を覚まさなければならない。日本の財政は健全でありちっとも厳しくない。今ここで物価上昇率が仮に2%だったとしたら、国の経済規模(GDP)は翌年には(たとえ実質経済成長率がゼロであったとしても)名目で2%増える。これは、日本のGDPが今だいたい600兆円だから、翌年には12兆円増えることを意味する。この大きくなった経済をスムーズに回すためには、12兆円のお札を更に刷って市場に提供しなければならない。これが、インフレ経済下で日銀がお札を刷って政府が借金(返さなくても良い借金)を増やしても良い理由である。むしろ、政府が国債を発行し借金を増やすことが経済成長につながると言った方が正しい。そして、「国債は悪」という古びた迷信にしがみつく財務省こそが悪であり、「国債は経済成長のためのエンジン」と考えてこそ日本に明るい未来が訪れるのである。

 上図は先日も示したが、政府支出の増加率とGDP成長率が強い正の相関関係にあることを示している。アメリカは2001年からの18年間で政府支出を2倍ちょっとに増加させた結果 、GDPがほぼ2倍程度に大きくなったのに対し、日本は政府支出をこの間1倍ちょっとと ほぼ増加させなかった結果、 GDPも1倍と すなわち伸び無しの結果に終わっている。こういうデータに基づき考えると直ぐ分かることだが、一般会計予算が前年度よりマイナスになるなんてことは、あってはならないことなのである。