タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

少子化対策財源を医療保険料増で賄おうとする愚策

 岸田首相は6日の国会答弁で「少子化対策の財源確保のため、医療保険料に上乗せして徴収する支援金の負担額について、1人あたり平均で月500円弱を見込んでいる」と初めて試算額を明らかにした。「増税」と言わず「医療保険料に上乗せ」と言ったところがいかにも姑息である。以下に国民負担率(=租税負担率+社会保障負担率)の推移を示すが、増税を医療費負担増に変えようが国民負担率が上がるのに変わりない。国民負担率は昭和50年(1975年)の25.7%から、現在に至るまでおよそ2倍にも増えている。これ以上国民からお金を吸い上げてどうするんだと言いたい。

 国民民主党の玉木代表によれば、首相答弁には更に姑息な点があるようだ。「1人あたり平均で月500円弱」と言ったところで、保険料を支払うのは被保険者だから、「被保険者1人あたり 協会けんぽで月1,025円、組合健保で月1,472円にもなるとの試算もある」と玉木代表は言っている。
 そもそも少子化となる原因の一つに若者世代の貧困化がある。子供が欲しくない理由に「経済的な不安」があるのだから、国民負担率を上げて経済を冷やし国民を更に貧困へと追い込む政策は、本末転倒の愚策でしかありえない。
 財務省が書いた答弁書をそのまま読むしかない岸田首相に、もう国政を任せておけない。

P.S.
 先日届いた年金通知書にて、私の国民負担率を計算してみた。

 こんなものは累進課税で定額所得者ほど低率になるわけだが、私を年金生活者の平均だとしたら、年金のおよそ2割は強制的に御上へ差し出すことになる。(なお、本来はこれに、知らず知らずのうちに払っている消費税や酒税、ガソリン税などが加算される)。
 年金受給開始を遅らせば受給金額は高くなるが、そうすると国民負担率が高くなるし、死亡率も高くなるわけだから、政府は「遅らせた方が受給額が高くなりますよ」と甘い言葉で総支給額が減る方向へ国民を誘うのである。