タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

アリ(日本)とキリギリス(米国)

 昨日、日銀から、資金循環統計2023年4月~6月速報が発表されたので中身を見てみた。

 上図は家計の金融資産残高の推移を表している。6月末時点で、日本国民が所有する金融資産残高は2115兆円であり、これを人口1億2500万人で割った一人当たりの金融資産は1692万円となり、平均的な日本人は皆大金持ちということになる。また資産の中身は、現金・預金の構成比率が52.8%、保険・年金・定型保障が25.4%と この2つで78.2%を占め、日本人の貯金好き・保険好きが伺える。一方で、政府が勧める投資の品目である株式等の構成比率が12.7%、投資信託が4.7%と相対的に低い比率となっている。そして、この低い比率の株式が、対前年比で26%増の高い伸びを示したことにより、金融資産全体でも 4.6%の高い伸びとなった。
 さて、日本は「失われた30年」の間に給料がほとんど伸びず、一人当たりのGDPでは韓国にも抜かれ、貧乏国になってしまったという声もある。
     
 この30年で貧乏になったと言われるが、日本人はその間も資産を切り崩すことなく、逆に資産を増やしてきた。まるでアリが、冬になっても貯め込んだ食料には手を付けず、実りの乏しい荒野の中で必死にエサを探し回っていたような感じである。この日本と好対照になるのがアメリカである。彼らの貯蓄率は相当低い。貯蓄どころかローンを活用して現時点の生活を最大限に楽しもうとする。イソップ童話「アリとキリギリス」の教訓は、元々真面目にこつこつと働く日本人の身に染みついている。日本人は、ただでさえアリ型になっているのだから、少しはキリギリスの良いところを取り入れないといけない。