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田舎の年金暮らしのたわごと

ウクライナ戦線最新動向

 一ヶ月前には、ウクライナの反転攻勢が遅々として進んでいないと言われていたが、最近進展があったようなので調べてみた。

 上図は、ウクライナにおける2つの主戦場を示す。
1.東部戦線

<最近の戦況>
・9月14日 ウクライナ軍がアンドリーウカを奪還
・9月17日 ウクライナ軍がクリシチウカを奪還
<戦線の戦略的意味>
・バフムトは、ロシアにとってウクライナ攻めの最大の拠点
ウクライナにとっては、バフムトを奪還することに大きな意味はない。ただ、ロシアの最大の戦力をこの地に引き留めておく副次的な意味がある。
<戦力比較>
ウクライナ軍 24,000人 、ロシア軍 52,000人
<ロシア劣勢の原因>
・士気、熟練度、能力、装備 全てにおいてロシアは劣っている
 (勝っているのは兵の数だけ)
・空軍と陸軍がばらばらで連携していない
・指揮官も兵隊も練度が低く、作戦レベルが低い上、実行レベルも低い
<今後の方向>
ウクライナ軍は能力的にはバフムトを奪還することも可能だが、戦略的にバフムト奪還は第一優先ではないため、この後は無理をせず、ロシアの最大戦力と向かい合ったまま小康状態に移る可能性がある。(ウクライナにとっては、ロシアの最大勢力をこの地に釘付けにするだけで作戦上は成功となる)
2.南部戦線

<最近の戦況>
・8月28日 ウクライナ軍がロボティネを奪還
・9月16日 ウクライナ軍がベルボベへ進軍
<戦線の戦略的意味>
・トクマクは交通の要衝でロシアの兵站の拠点にもなっている。トクマクが落ちればロシア勢力が東と南に分断され、兵站が滞り、逆にウクライナにとっては、トクマクからメリトポリを経由してクリミヤへと続く道が一挙に開ける
<今後の方向>
・ロシア軍は南進するウクライナ軍の補給路を断つべく突破口の東西から攻撃を掛けてくるので、ウクライナ軍は東西の守りへも4割程度の兵力を割きながら、残る6割の兵力で第2次防衛線を突破しトクマク奪還を目指す。
・ロシア軍は、東部戦線にいた76空挺師団を南部戦線へ回し迎撃体制を整えつつある。76空挺師団はロシア軍の中では最強の精鋭部隊と言われており、今後この地で両軍の激突が始まる

P.S.
 ここに来て、ロシアの劣勢がいよいよ明白になってきた。2つの戦線以外にも、最近、ウクライナ軍によるクリミア半島セバストポリへの攻撃が明らかになった。ゼバストポリにはロシアの海軍基地があり、ウクライナの攻撃によりロシア軍の揚陸艦と潜水艦が大きな損害を受けたようだ。ここで注目すべきは、海外メディアによるウクライナのクリミヤ攻撃のニュース配信を、ウクライナが暗に認めている点である。これで、クリミヤを攻撃してもロシアが戦術核を使用しないことがはっきりした。
 プーチンは、怖くて戦術核が使えない状態にある。一旦核を使ってしまえば、NATOにロシア攻撃の口実を与えることになり、ロシアの敗戦が決まってしまうからである。NATOは核を使わず、通常兵器だけでロシア軍をあっと言う間に殲滅できる。この1年半の戦闘により、ロシアとNATO間の圧倒的な力の差が(と言うかロシア軍の弱さが)明らかになったのである。