タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

ヨーロッパの歴史

 今日はヨーロッパの歴史のおさらいをした。

 上図は、世界史の教科書の、民族大移動後のヨーロッパを書き写したものである。その教科書によれば、民族大移動は3段階に分かれて行われた。第一弾がゲルマン系、第二弾がノルマン系、最後がスラヴ系の移動となる。
 また、今問題になっている「スラヴ系」に着目すると、スラヴ系は、東スラヴ人ウクライナ人、ベラルーシ人、ロシア人)、西スラヴ人スロバキア人、チェコ人、ポーランド人)・南スラヴ人クロアチア人、セルビア人、ブルガリア人など)に分けられる。

 上表は、スラヴ人の国々を、民族、宗教、言語で比較したものである。争いは価値観の違いから生じることが多いが、価値観の基礎となる宗教が異なれば、戦争に発展することも多くなる。ローマ帝国に近かった西スラヴの国々は基本カトリックになり、ビザンツ帝国に近かった東スラヴ系の国々はギリシャ正教になった。問題は南スラヴであり、カトリックギリシャ正教の民族が混在する地域となった。
 私が小学生の頃、ユーゴスラビアという国があった。この国で紛争が生じたのは1991年である。どうも、カトリック教徒のクロアチア人やスロベニア人と、ギリシア正教徒のセルビア人は元々そりが合わないようである。最初に、セルビア人主導で治めるユーゴスラビアから、クロアチアスロベニアが独立を宣言し、その後、クロアチア紛争、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、コソボ紛争へと発展した。1999年のコソボ紛争交渉決裂の際には、NATO軍がユーゴスラビア空爆している。また、空爆を受けたセルビアは、当然としてNATOに加盟していない。
 このユーゴスラビアの中でのセルビアの立ち位置は、ソ連の中でのロシアの立ち位置に良く似ている。どちらも、連邦共和国の中で我こそが全体を主導する立場だと思っている点である。また、どちらもギリシャ正教会から派生した正教会の国である。ロシア正教会トップのキリル総主教が、モスクワでの説教で、「(ウクライナ東部の)ドンバス地域での紛争は世界の大国と名乗る関係国が差し出す価値観といわれるものに対する根本的な拒否に根差している」と主張。暗に西側のやり方を批判することでプーチンを支持している。宗教側トップがこんな風にプーチンを支持すると、ロシアの一般国民は、「プーチンがやっていることは神にも認められた」と思うだろう。
 今日のおさらいでは、戦争の裏側には、宗教に根差す価値観の違いがあるように思えた。

P.S.
 上図は、一般財団法人日本総合研究所会長・多摩大学学長の寺島実郎氏が、教養番組『寺島実郎の世界を知る力』で使った説明図である。
 プーチンから見れば、1991年までソ連邦だった国の中で、最初にカトリックプロテスタントの国々が次々とNATOに加わり、そしていよいよ正教徒の国であるウクライナまでもがNATO加盟を希望するような裏切り行為を働いているように見えるのであろう。宗教に疎く、聖職者が戦争に加担することを理解できないでいる私であるが、宗教こそが戦争の引き金になっているかも知れないと感じた次第である。