タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

貯蓄から投資へ?

 日経平均株価が上がっている。アベノミクスによる大規模金融緩和とそれが産み出す円安が、ここへ来てようやく効果を発揮し始めた。もちろん、ここまでにもアベノミクスによる多少のデフレ脱却効果はあったのだが、2回の消費増税と新型コロナパンデミックがその効果を帳消しにしてしまっていた。今年は帳消し要因が今のところ見当たらず、経済の先行指標である株価が上がり出したので、いよいよデフレからの完全脱却を達成し、失われた30年が終わる年と期待しても良さそうな雰囲気になってきた。

 さて、株価が上がっても喜んでいるのは証券会社と投資家だけ、一般国民には恩恵が無く、「そんなことよりこの物価高を何とかしてくれ」とか「給料を上げてくれ」といった姿がマスメディアで多く流されている。ただこれは、(一昨日のブログで「平均所得以下の人が6割いる」と書いたが)、マスメディアが弱者の味方を気取ってネガティブなニュースに偏り流しているからであって、所得が上位の人はこの恩恵を実感しているに違いない。例えば、この円安で過去最高益を出している優良企業が沢山あるが、そこの社員は、経団連ガイドラインに沿って実施された4%以上の賃上げの恩恵を享受していることであろう。この2ヶ月ほどで持ち株会の株価も随分上がっており、そんな社員は、そういう喜ばしい状況を周囲へ漏らさず、静かにリッチな生活を楽しむことになる。
 ピケティの法則というものがあり、以下のように表される。
  (資本収益率)> (経済成長率)
この法則は、言い換えれば、「資本が富を生みだし大きくなるスピードは、国民が労働により富を生みだし、その所得の総和(GDP)が大きくなるスピードを上回る」と言える。この法則から、「金持ちは益々金持ちになり貧乏人との差が広がる」とか、「世界の富はほんの一部の人に独占されるようになる」と導き出せる。ピケティの法則は、先進国の歴史データから導き出された事実であり、資本主義では格差が広がる傾向であることを示している。正に資本主義のネガティブな面を示す法則となるのだが、ボジティブに、「働けなくなっても、資本があれば食っていける」と解釈することもできる。トレーダーは資本の収益性をどう上げるかを日々の生業として働いている。岸田首相は、資産倍増と言い出した。今後は、貯蓄から投資へと日本国民のファイナンシャルプランが変わっていくのだろうか?