タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

日本経済の活性化に必要なもの

 昨日、ノーベル物理学賞が、米プリンストン大上席研究員の真鍋淑郎氏に授与されると発表された。誠にめでたいことである。
 今日はノーベル賞に関係無く、昨日の続きで日本経済の今後について考えてみたい。と言うのも、昨日は新資本主義の財源(税金の徴取先)について述べただけに終わってしまい、肝心の「経済の活性化」についての考察にまで至らなかったからである。まず最初にアベノミクスの検証から始める。
 アベノミクスは、「金融緩和」、「財政政策」、「成長戦略」の3本の矢で構成された経済政策であった。実際、安倍政権発足直後の2013年から始まった「異次元金融緩和」は円安をもたらし、価格競争力が強まった輸出関連を中心に企業業績は改善した。日経平均株価は15年ぶりに2万円を超え、バブル崩壊後の最高値に達した。大規模な財政出動を相次いで打ち出し、景気回復を演出した。有効求人倍率は初めて全都道府県で1倍を超え、約45年ぶりの高水準となった。そして400万人を超える雇用をつくり出すことができた。大学の評定風に「優」「良」「可」「不可」で評価するなら、「良」と言ったところであろう。
 ただし、野党やマスメディアの評価は手厳しい。実質賃金は上がらず、多くの人に景気回復の実感が湧かないところが問題点として指摘されている。これをもって野党は「アベノミクスは大企業や資産家等のお金持ちを優遇する政策だった」と非難するわけである。ただ私の見方は違っていて、『アベノミクスは効果があったのだが、ここまでのデフレの負の遺産が大き過ぎて、その効果は雇用面では失業者の削減に食われてしまい、実質賃金引上げまでには至らなかった』である。
 正しく評価した後の反省点は、第1,第2の矢は上手くいったが、第3の矢(成長戦略)が上手く行かなかった点である。岸田政権においても、この「成長戦略」が上手く働かないと、分配と成長の好循環が産み出されずに終わってしまう。
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 私は、「成長戦略のポイントは、成長分野に打って出る若い起業家をいかに沢山育成できるか」だと思っている。上表はGAFAM(GoogleAmazonFacebookAppleMicrosoft)の創業者と創業時の様子である。この5社の株式時価総額東証全社の時価総額を超えてしまった。日本にもこんな会社が1社でもあれば、「日本も成長している」と皆実感できるであろう。注目すべきは、創業者が皆若い内に起業している点である。Amazonを除く4社が、大学在学中や中退して直ぐの若者により創業されている。
 日本で米国のように、大学生が次々に起業する姿を想像することは難しい。ただ、学校教育の中での「投資」や「企業」の教育を通じてのマインド作りや、起業をサポートする銀行や団体の活性化を通じて、なんとか起業家を育成しないと、日本経済の低迷は続くのではなかろうかと心配する。