タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

無花粉スギの効果が出るのは何年後?

 花粉症の季節が近づいてきた。私は30代になって花粉症の症状が出てきたが、左程激しくなかったので、この年齢になるまで治療を受けたこともなければ薬を飲んだこともない。

 上図はスギの樹齢別分布を示している。横軸が樹齢、縦軸が栽培面積であり、人間に例えるなら、年齢別人口分布となる。この図を見ると、私がまだ小学生だった1966年では、樹齢20年未満の若くて花粉を生産できない木々がほとんどであり、花粉症とは無縁な生活を送れていたことが分かる。図には2012年の分布も書いてあるが、この頃には、スギとしては働き盛りとなった樹齢30年以上の木々が主流となり、せっせと花粉を生産していたと推定できる。そしてこの状況が現在もあまり変わらず続いていることになる。
 さて、花粉症対策として最近「無花粉スギ」が認知されることとなった。無花粉スギは平成4年(1992年)に富山市内の神社で偶然発見された突然変異体であり、花粉が詰まっている雄花は普通のスギと同じように形成されるが、その中に花粉が形成されず結果的に無花粉となる。
 この無花粉スギのさし木用の穂が安定的に採れるよう、採穂園が整備され、主に都市部の緑化用として年間1000本程度の普及も始まっている。ただこの程度の量の植林では、何百万haにもおよぶ日本全国のスギを全部無花粉スギに植え替えるには天文学的な時間を要することになる。岸田首相が打ち上げた「花粉症の発生源(杉林)対策」が線香花火で終わらぬことを期待したい。