タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

宇宙の果てはどのくらい遠いか

 一昨日、東京大学宇宙線研究所から「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、遠方宇宙に大量の巨大ブラックホールを発見」とのプレスリリースがあった。

 上図は今回発見されたブラックホールが見つかった銀河の画像で、何と120-130億年前の遠方宇宙に10個のブラックホールが発見された。これは、宇宙誕生後10-20億年後の遠方宇宙に既に大量の巨大ブラックホールが存在していたことを示す重要な結果であり、しかも宇宙望遠鏡の非常に狭い視野の領域に、これまでの予想値の50倍もの数のブラックホールが発見されたのであるから、研究者にとっても驚きの発見であった。
 因みに宇宙は膨張しているので、「120-130億年前の遠方宇宙」とは「120-130億光年遠方の宇宙」を意味しない。

 上図は宇宙膨張を考慮し、縦軸を時間軸、横軸を宇宙の大きさとして「億年前の遠方宇宙」と「億光年彼方の宇宙」の違いを示している。これを見ると、今回見つかった「130億年前の遠方宇宙」は、130億年前に発っした光を観測しているわけだから、その光を発した銀河は、現在、130億光年を超えた遠方にあることが理解できる。
 因みに、130億光年彼方の宇宙が、今現在どの程度のスピードで地球から遠ざかっているかを「ハッブルの式」で計算したら、秒速29.1万kmと出た。これは光速の97%に相当する。ネットで調べたら、観測限界となる宇宙の果ては400億光年彼方とのこと。現在遠方宇宙は、光速を超えるスピードで地球から遠ざかっている。そして、観測できるのは過去の姿となる。またそして、観測限界となる宇宙の果ての向こうには、観測不可能な宇宙が広がっている。そして更に、観測不可能な宇宙の領域は、今後もどんどん外へ広がり地球から遠ざかって行く。宇宙はこのようにして、正に「果てしない」。