タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

選りに選ってこの暑い日に

 今日、朝の涼しいうちに庭の草むしりをして、休憩しようと家に入った。妻が買い物に出かけていたので、誰もいない家の中はしーんとしていたが、直ぐに何かおかしい気がした。異常に静かで物音一つしない。しばらくして、その異常が何なのかが分かった。停電で冷蔵庫が動いていない、エアコンも冷気の吹き出し口が開いたまま、動作ランプが消えていた。
 あわててブレーカーを確認に行ったら、漏電ブレーカーが落ちていた。ブレーカーが落ちることは時々あるが、それは電気器具を複数同時に使った場合であり、落ちたブレーカーを上げれば直ぐに問題解決できたのだが、今日のはいつもと違って難問だった。だいたい、家には誰もいなくて、電気器具と言えば冷蔵庫とエアコンが定常運転をしているだけ。そんな状態でブレーカーが落ちたのだから、「ひょっとして漏電?」と疑った。そして、落ちたブレーカーをいくら上げようとしても上がらず、何回やっても元の落ちた状態に戻ってしまった。
 そんなところへ妻が帰って来て、妻は北陸電力のお客様サポートへ電話した。受付の女性に事情を説明したら、その後3分ほどの長い電話保留があり、再開後に「技術員を手配しましたので、しばらくお待ちください。お宅へ伺います」との回答を得た。妻も私もほっとした。時計はそろそろ正午を指しており、受付員から「いつまで行くとはお約束できませんが、まあ遅くとも2時間以内には」と言われたので、最悪3時には直るだろうと思った。
 北陸電力の技術者は、30分もしないうちに来た。年齢30代ぐらいの若いお兄ちゃんだった。そのお兄ちゃんは問題のブレーカーを見て、上がらないことを確認した後、こう言った。「誠に申し訳ありませんが、確かにこのブレーカーが壊れているようです。ただ、北陸電力の触れる範囲は、この壊れたブレーカーの上流にある大本のブレーカーまでで、この下流側はお客様の持ち物として、壊れた場合はお客様から電気工事店へ修理の依頼を出してもらうことになります」。『え、そうなの?』と思った。この技術員は修理に来てくれた人ではなかったのである。仕方がないので、その技術員に電気工事屋を紹介してもらい電話を掛けたら、一軒目が、ブレーカーの在庫がないと言われ、二軒目で在庫はありで「直ぐに見に行く」と返事があった。一応の目処がついたところで、北陸電力のお兄ちゃんは申し訳なさそうな顔をして帰って行った。
 電気屋さんは30分ほど待って来た。40代でラガーマンのようにがっちりした体格の職人であった。直ぐに部品交換の作業に入ったが、壊れたブレーカーは1985年製と古く、「こんなに古いブレーカー見たのは久しぶりです」と言われた。1時間ほどの作業が終盤に近づいた時「漏電があったみたいです」と言われ、通電して作動しない電気器具を調べたところ、屋外に置いてある井戸水汲み上げ用のポンプが壊れていたと分かった。こいつも、この家ができた1985年から動き始めて38年間動き続け、漏電による異常電流で今日寿命が尽き、この家が建ち一緒に働き始めた同期のブレーカーを道連れに機械の一生を終えたのである。
 修理が終わったのが午後3時。温度計は34℃を示していた。選りに選って、今年の史上最高の暑さを記録しそうなこの夏の、しかも一番気温が上がるこの時間帯に、よくぞ壊れてくれたものである。お陰で記憶に残る一日となった。ただまだ一件落着には至ってない。井戸水汲み上げポンプが壊れたままである。我が家は台所もお風呂も水道水と井戸水を併用しており、水道水は電気温水器を通って温水用、井戸水は冷水用として使っている。従って、井戸水が汲み上がらない現在、お風呂で蛇口を冷水用にすると水が出ない。温水用にすると60℃の高温水が出る。丁度良い温度へとレバーを冷水側へ調整しても、水の温度は変わらず水量が減るだけ。今日は、水道水専用蛇口からの冷水を湯舟に溜め、その冷水と高温水を洗面器で混ぜ適温にしながら体を洗った。休み明けには業者へ修理をお願いしないといけない。

P.S.
 二日後の月曜日、業者に来てもらい問題のポンプを見てもらった。コンセント回りの修理後、モーター自身の絶縁については問題が無かったので、取り敢えず運転再開して現状回復し、井戸水が使えない悲惨な状況を回避して、その間に部品手配をしてもらい追って問題のポンプは交換することになった。
 蛇口をひねると水が出て適温のお湯も出るということが、どんなに素晴らしいことかを改めて実感した。