タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

アルミは酸にもアルカリにも溶ける

 昨日駅で破裂した缶の中身が強アルカリ性洗剤と判明、アルミとアルカリの化学反応により水素ガスが発生したとのニュースが流れた。私の記憶では、アルミは水素よりイオン化傾向が大きいため酸には溶けるはず。しかしながら、はて、アルミはアルカリにも溶けるのか? と疑問に思い調べてみた。
1.アルミは酸に溶ける

 上で示すようにアルミは酸に溶ける(上は塩酸に溶ける時の化学式)。アルミは、持っている電子を水素イオンに与え、自らはアルミニウムイオンとなって溶液に溶け出る。電子をもらった水素イオンは、水素ガスの泡となってぶくぶくと水面に立ち昇る。
2.アルミはアルカリにも溶ける

 上で示すようにアルミはアルカリにも溶ける(上は水酸化ナトリウム水溶液に溶ける例)。アルミは持っている電子を水素イオンに与え、自らは錯イオンとなって溶液に溶け出る。電子をもらった水素イオンは水素ガスとなる。ただここで理解し難いのは、アルカリ溶液の中には、明示的には水素イオンがないという点。ここで、水(H20)が水素イオンと水酸イオンに電離している知識が必要になる。実際アルミが強アルカリ溶液に溶ける時は、以下の図で示すテトラヒドロキシドアルミン酸イオン(錯イオン)を形成する。アルミが、電離した水の片割れである水素イオンの方に電子を与え、残った水酸イオンと電気的に結合する中で、アルカリが強い環境(OHイオン濃度が高い環境)では、電気陽性度の高いアルミ原子の回りを、電気陰性度の高い水酸イオンが4つ、テトラの形で取り囲み安定する。このようにしてできる錯イオンは全体として陰イオンとなり、陽イオンと溶液の中で電離した形で安定する。
   
 今日は久々に化学の復習をした。金属が溶液に溶けるとは、通常は陽イオンの形で電離している状態を意味するが、アルミのような両性金属は、アルカリ溶液の中で陰性の錯イオンの形で電離している(溶けている)ことになる。