今日も前回に引き続きリュウグウ粒子の分析結果について紹介したい。
上図は、リュウグウ粒子に含まれる多様な有機物が、大きく3種に大別されることを示している。
赤:芳香族を主とする有機物
緑:脂肪族を主とする有機物
青:緑と赤の中間的な有機物
上図左は、この分析に用いた走査型透過X線顕微鏡(STXM)の3種の有機物グループに対する特性曲線を示す。上図中は、リュウグウ粒子中(0.02mm四方)の 三種類の有機物ごとの分布を可視化した画像。上図右が、可視化画像の点線領域を透過電子顕微鏡により観察した画像で、粗粒の含水ケイ酸塩鉱物の中に脂肪族炭素に富む有機物が濃集していることがわかる。
この組織は、有機物が水の存在下で鉱物と反応したことを示す世界で初めての直接的証拠となる。脂肪族炭化水素に富む有機物は、30度以上の温度になると分解するという研究報告があり、つまり、脂肪族炭化水素に富む有機物の存在から、リュウグウは30度以下の温度しか経験していないと考えられる。
さて、前回(一昨日)は地球の水の起源について説明したが、今日の有機物に関しても同じことが言える。すなわち、有機物も太陽系外縁から来る彗星や小惑星に乗って地球まで運ばれたことになる。