タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

再生可能エネルギーはクリーンか?

 北海道蘭越町で資源調査の掘削作業中に蒸気が噴出し、周辺の水から高濃度のヒ素が検出されたというニュースを聞いて、一瞬「何の調査?」と思った。三井石油開発という会社名から、北海道に石油が出る? と疑問が先行したが、色々調べてみたら「地熱発電のための調査掘削」だと分かった。地熱発電再生可能エネルギーの一つであり、CO2も排出せずクリーンなエネルギーと考えられていたが、地中に眠るヒ素を掘り起こすリスクがあることが改めて確認された。そう言えば、四大公害病の一つのイタイイタイ病は、神岡鉱山岐阜県飛騨市)から排出されたカドミウムが原因となったが、この鉱山は三井金属鉱業により採掘されていた。三井石油開発三井グループの会社であり、資源開発が引き起こす環境破壊や環境汚染については、それなりの知見とノウハウがあったと思われるが、この仕事は「掘ってみないと分からない」というところがあり、今回も目標掘削深さの半分にもいかないところでの異常噴出だったようだ。
 さて、SDGsの一環として、クリーンなエネルギー、再生可能なエネルギーが求められているが、今回の例からも分かるように、再生可能エネルギーであってもクリーンでなくなる可能性があることを押さえておかなければならない。現に、太陽光発電設備の建設が環境破壊を引き起こしていることがある。
 それから、「電気自動車はCO2を出さないから良い」という単純な発想で行動するのは良くないと思う。その電気を作るために火力発電所でせっせとCO2を排出しているからだ。
 日本人は、SDGs とか カーボンフリー とか美しいスローガンに酔って盲信する傾向があるが、もっと世界の裏の状況を考えて行動した方が良いと思う。たとえ世界中の車を全部電気自動車にしようが、そのCO2削減効果は微々たるものであり、それより、中国とインドの石炭火力発電所を全部日本が開発した高効率石炭火力に置き換えた方が余程効果が高いのであるから。