タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

SF発展形その1 常温核融合

 昨日は勝手気ままに「太陽系外惑星探査の旅」と題して、Sience Fiction風に物語のあらすじを書いてみた。今日はその中のポイントを多少説明的に書いてみる。ただし、これから書くことはFictionであり、真実ではないことを予めお断りしておく。

 探査ロケットのエンジンには「常温核融合エンジン」が採用された。核融合発電は既に実用化されていたが、高温高圧力の配下でプラズマ状態を一定時間維持する必要があり、大規模な施設設備が必要であった。ところが、核融合反応にも「トンネル効果」が存在することが発見され、常温低圧の環境下で核融合が起きることが確認されたことで、これを応用した小型のロケットエンジン開発が可能になった。

 上図は有機化学で生じるトンネル効果の概念図であるが、通常では活性化障壁を超えるエネルギーを与えないと進まない反応が、トンネル効果により、活性化エネルギー無しでも反応が進むことを示している。

 実際の核融合反応は、左側(エネルギーレベルの高い状態)には重水素や3重水素トリチウム)があり、これが融合して右側の(エネルギーレベルの低い状態)ヘリウムが生成される。常温核融合反応は、3重水素に高エネルギーレベルの水素イオンビームと電子ビームを照射することで起きる。反応式風に書けば、
重水素(1陽子+2中性子+1電子)+水素イオン(1陽子)+1電子 → ヘリウム
と書ける。実際の新型エンジンの燃料には、トリチウムの他に重水素とウランも配合されている。重水素はウランの核分裂の際放出される中性子を吸収してトリチウムに変わるので、この新型エンジンは、使った分のトリチウム燃料を宇宙空間で新たに生成し補充しながら長期間使用し続けることができる。