タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

メンデルの法則から外れる我が家のカボチャの色

 今朝、家庭菜園でカボチャの人工授粉をしていたら、横の道を集団登校の小学生が通り過ぎた。「わぁー、カボチャがなってる」という子供たちの声を聞いて、なんだかとても嬉しかった。昨日、うどんこ病になりかけていた葉を大量に切ったので、外から棚下が見えるようになり、それが子供たちの新たな発見につながったのであろう。

 私にも新たな発見があった。カボチャの外皮の色が黄緑と濃い緑で2種類あることは2年前の収穫時から気が付いていたのだが、今までは、黄緑になる株もあれば濃い緑になる株もあると思っていた。ところがなんと、同じ株の同じつるに2種類の色のカボチャの実がなっていることに今日初めて気付いた。これも葉を大量に切り取り、見通しが良くなったお陰であろう。
 こんなことはどうして起きるのだろうか? メンデルの法則では、たとえ黄緑と濃い緑の二つの遺伝子を持っていても、優性の法則により、優性の形質が現れることになっている。また、劣性の形質は、分離の法則により次世代に現れることになる。今日発見したことは、メンデルの法則では説明できない。
 先日のブログで「植物の成長点の細胞は茎になるか葉になるか花になるか決まってない」と書いた。もちろん雌花になるか雄花になるかも決まってない。そうなると、雌花になると決まった時点で、将来実となる子房の外皮の色も決まることになるが、決まり方は、成長点細胞のDNAの中で、黄緑遺伝子と濃緑遺伝子のどちらを採用するかに依ることになる。そしてこの選択がランダムに行われると、一つの株の中で、外皮が黄緑色と濃緑色のカボチャが、双方並んで実を付けることになる。
 これと似た例は動物にもある。三毛猫は3色(白、黒、茶色)の毛を持つ。猫のX染色体上には、毛の色を黒にするか茶色にするかを決める遺伝子座があり、X染色体を2本持つメス猫において、黒遺伝子(劣性)と茶色遺伝子(優性)の双方を持つ猫の場合、三毛猫になる。この三毛猫の場合もメンデルの優性の法則が成り立たないことになるが、その理由は、猫の毛色が、受精卵の細胞分裂がある程度進んだ胎児初期の段階で、黒遺伝子を採用するか茶色遺伝子を採用するかが細胞毎にランダムに決まるからである。茶色と決まった細胞はその後細胞分裂を繰り返して回りに茶色の領域を作り、黒と決まった細胞は回りに黒い領域を作る。このようにして細胞毎にランダムに決まるから、全体としては茶色と黒色のまだら模様になる。なお、毛色を白にする遺伝子は茶色/黒色遺伝子とは別の遺伝子座に存在し、この遺伝子が体毛を部分的に白くするため、結果的に三毛猫は三色のまだら模様になる。