タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

秋に紅葉する目的は?

f:id:TatsuyaYokohori:20211106210628p:plain
 写真は朝晩のウォーキングコースのスタート地点に高々と立つ大欅(ケヤキ)である。11月に入り黄色く色づき始めた。今日は植物にとっての紅葉の目的を考えてみる。
 まず、紅葉の後に訪れる「落葉の目的」を考える。秋になると太陽光のエネルギーレベルが下がって来るため、植物が光合成によって得られるエネルギーがだんだん減って来て、葉を維持するエネルギーを上回ってしまう。つまり植物にとっては、秋に葉を落とすことにメリットがあることになる。これが落葉の目的となる。
 ただ、そうなら、葉が緑のまま落葉しても良いわけだが、植物はわざわざ葉の色を赤や黄色に変えてから葉を落とす。紅葉には、それなりのメリットがあると思われる。
 まず、赤く色づくのは、アントシアニンという色素が働いているからである。赤く色づく葉には、夏の間の光合成で生成されたグルコースがまだ残っていて、植物にとっては、これを回収して幹や根に送って蓄えることには意味がある。しかし秋になると、葉の葉緑体の中のクロロフィルが壊れて失われ、そうなると、太陽光により、栄養分(グルコース)を回収する前に葉の細胞組織が破壊されてしまう。これを防ぐため植物はアントシアニンという赤紫の色素を生成して、この葉組織の破壊を防ぐのである。
 また黄色に色づくのは、カロチンという色素の働きによる。元々葉緑体には、クロロフィル(緑)とカロチン(黄橙)という2種類の色素が含まれていて、これにより光合成を行い、同時に太陽光から細胞組織を守っている。カロチンはクロロフィルよりずっと安定していて壊れにくい。このため、秋となりクロロフィルの再生産が行われなくなると、葉緑体から最初にクロロフィルが失われ、カロチンだけが残り黄色や橙色に色づくことになる。以上の説明から分かるように、植物はわざわざ緑色から黄色へ色を変えているのではなく、赤色と青色の光を吸収した結果緑色に見えていたクロロフィルという色素が秋になって壊れて失われたため、残ったカロチンという黄橙色が見えているだけなのである。