タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

デフレの中で一部のものが値上がりし始めた

 一昨日、眼鏡屋に行って新しい眼鏡を注文した。5年前に購入した遠近両用眼鏡レンズのコーティングがところどころ剥げてきたからである。フレームとレンズにコーティングのオプションを付けて全部で26,500円、安いものである。5年前と変わってないし、今回は電子決済サービスで10%のポイント還元が付くので、むしろ値下げになっている。
 昨日は半年振りに車にガソリンを入れた。我が家の車庫は2台が縦列駐車できるようになっているが、4月に妻の軽四を前側にして、以降半年間ずっと軽四ばかり使用していたため、私の車は半年間使用しないで車庫の奥にいた。ガソリンの価格が上がっていることはニュースで知っていたが、実際リッター160円の値が上がったガソリンを入れると、『エネルギー価格の上昇は影響範囲が広いので、今後様々なものが値上げになるかもしれない』と思った。f:id:TatsuyaYokohori:20211108115526p:plain
 上図は主要国における消費者物価指数(対前年同月比)の推移を表す。日本が主要国の中でこの十数年間一貫して最低位に留まっていることが分かる。高度成長期の頃は、物価が上がらず低位で安定することは良いことだったが、バブルが弾けて以降、物価が上がらないこの状態は「デフレ」と称され、リーマンショック後に民主党が政権を取り、経済がこのデフレの極致まで落ち込んだ。その後安倍政権が成立し、直ちに「デフレからの脱却」が経済政策の一番の目標となった。この図を見ると、安倍政権のデフレからの脱却は当初は上手くいっていたが、2014年4月に実施した消費税引上げ(5%→8%)で腰砕けになってしまい、それを反省して2015年に予定していた再引上げを何度も延期したが、2019年10月には再度引上げ(8%→10%)となり、その後に発生したコロナショックで再びデフレに再突入した形になっていることが分かる。
 現在、日本と中国以外の主要国の物価指数が対前年同月比2%以上となってきた。米国は5%を超えており、インフレ懸念の領域に入って来たため、テーパリング(中央銀行が行ってきた量的金融緩和政策を段階的に縮小)を始めた。これにより、米国金利が上昇し日米の金利差が開いたため、円安基調になってきた。そしてこのため、原油価格の高騰に円安が加わりガソリン価格が更なる高値域に入る動きを見せ始めた。今日本の経済は、コロナ禍で経済が落ち込んでいる中、一部の物価が上がり出した極めて由々しき状態になっている。
 この2年間のコロナ禍で消費されず貯蓄に回った金額は約20兆円と推定される。もし、この貯蓄が一気に消費に回れば、景気は急速に回復し、それと同時にインフレ懸念が一挙に浮上するだろう。20兆円と言えば莫大な額で、公明党案である「18才以下一人当たり10万円一律現金給付(予算規模:2兆円)」の10倍もある。しかしながら、日本国民はデフレ期間が長く続いたため、給付金を消費に回さず貯め込んでしまう癖がついてしまった。現金を配っても実際消費に回るのは3割程度と見積もられている。
 これらを踏まえて実際どうすれば良いか、政府は早急に結論を出さなければならない。私としては、たとえバラマキと言われようが、消費に回る分は限られると言われようが、一律の現金給付はやれば良いと思う。その上で、これとは別に、コロナ困窮者対策をやれば良いと思う。政策案策定時には財務省が入って、効果の度合いとか予算についてあれこれ言うだろうが、そんな財政規律だけを考える人達の意見は無視して、極端過ぎるくらいの財政出動をやれば良いと思う。これにより物価上昇率が2%を超えれば喜ぶべきであり、4%を超えても別に問題はない。日本国民をいくら焚き付けても、オイルショックやバブル期のようなインフレにはもう成りようがないので、まずは多少余計めにお金をばらまき、景気拡大の基調を作るべきである。そしてその後、納税時に少しづつ富裕層から徴収すれば良いのである。