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田舎の年金暮らしのたわごと

デルタ株は自滅?

 新型コロナウイルスの流行「第5波」の収束には、流行を引き起こしたデルタ株でゲノム(全遺伝情報)の変異を修復する酵素「nsp14」が変化し、働きが落ちたことが影響した可能性があるとの研究結果を国立遺伝学研究所と新潟大のチームがまとめた。八月下旬のピーク前にはほとんどのウイルスが酵素の変化したタイプに置き換わっていた。このウイルスではゲノム全体に変異が蓄積しており、同研究所の井ノ上逸朗教授は「修復が追いつかず死滅していったのではないか」と指摘する。
 非常に気になる発表であり、今日はこの「デルタ株はゲノム変異修復酵素が変化したため死滅か?」について調べてみた。まず、日本の第5波が収束に向かっているが、他国ではどんな状況かを調べた。
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 上図は、日本、インド、韓国、英国、米国、ロシアの新規感染者数の推移を変異株のシェアと照らし合わせながら示したものである。まず、6ヶ国とも、今現在最も主流な変異株がデルタ株だということが分かる。10/18のブログでも書いたが、この6ヶ国ばかりでなく、デルタ株は今全世界を席巻して最強の変異株になっている。もし、国立遺伝学研究所が言うことがデルタ株全種の特質であるなら、韓国、英国、ロシアでも感染者数収束の兆しが見えても良さそうなものだが、今の時点でそんな予兆は見えていない。
 上図を見て分かるが、日本の感染収束の度合いは群を抜いている。日本と似たような山の尖がり具合を示しているのは、デルタ株においてはインドだけであるが、山のピーク値からの減少比率が、日本の2ヶ月で1.0%(およそ1/100)まで減少に対し、インドのそれが半年で2.6%までに留まり、日本の収束スピードと収束度合いがいかに抜きん出ているかが分かる。
 さて、国立遺伝学研究所の言うことが、デルタ株の一般的性質ではなく、「日本のデルタ株だけの特質」ということがあるのだろうか?

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 上表はデルタ株を更に細かく分類した「亜型」を表すが、これを見ると日本のデルタ株は AY.29 という亜型であり、日本に固有の亜型であることが分かる。

 今日は、ここまでしか分からず中途半端な内容となった。『国立遺伝学研究所が日本の亜型 AY.29 ばかりでなく、他国のデルタ株亜型においても、修復酵素「nsp14」が変化しているか、いないのかを調査してもらえれば、日本のデルタ株(AY.29)のみが死滅しているのか否かが分かるのに。。。』と思った次第である。

P.S.
新型コロナウイルス変異株は、スパイク蛋白質を作るゲノム領域(下図のS青色)における突然変異に関して分類されていて、この領域での突然変異は、例えばデルタ株では「L452R」とか「E484Q」と表され、これは、アミノ酸配列の何番目が何から何へ変わったかを意味する。一方で、今回問題になっているのは、ゲノムの中のゲノム複製領域であり、ORF1a、ORF1bと称されている。上表を見ると、日本固有の亜型AY.29においても、この領域に突然変異が起きていることが分かる。ただそれが、変異修復酵素である「nsp14」の変異なのかは、この要約資料からは判断できない。他国の亜型についても、それぞれの亜型の詳細資料を見ないと分からないし、素人の私に、そんな文献読破の能力もない。f:id:TatsuyaYokohori:20211105104924p:plain