タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

天の川銀河に取り込まれた数々の矮小銀河

 先日、「世界最高解像度天の川銀河シミュレーション」という記事が出た。今日改めて、原文(英文論文)をGoogle翻訳して読んでいたら面白い発見があった。

 上図は論文に掲載された図に私のコメントを追加したものである。この図の縦軸は、恒星の構成元素である鉄(Fe)と水素(H)の比を尺度としている。横軸には宇宙時刻(現在138億年)が取られ、その中に太陽系が生まれた時刻を追記してある。宇宙誕生時は H が多く Fe は皆無であったが、宇宙の成長とともに星が輝き出し、重い星が超新星爆発を起こすにつれて Fe 以上に重い元素も増え始めた。上図は、宇宙が生まれて直ぐの頃は Fe/H の比が小さい星が多く、10億年程度でその比が大きくなった星が多くプロットされていることが分かる。
 この論文には、銀河系形成シミュレーションで得られた計算結果についての考察が述べられている。我々が住む天の川銀河には、100億年以上前に生まれた星も多く含まれているが、それらの古い星には重金属・希土類元素(鉄より重い元素)を多く含むものが多く、これらの星々は、天の川銀河の周辺にあった矮小銀河で生まれ、その後、矮小銀河もろとも天の川銀河と衝突し合体したとこのシミュレーションは示している。
 昨年4/21のブログでは、「天の川銀河は祖先銀河を取り込みながら成長して来た」と書いており、天の川銀河が矮小銀河と衝突合体を繰り返して成長してきたことは知っていたが、この論文を読みながら、「100億年以上も前に起きたことをどう検証できるのか?」と思った。どうも、この検証には、ユーロピウムEu 原子番号63)という元素がキーとなるみたいだ。実際、以下の図で示すように、ユーロピウムをパラメータとして検証しているが、シミュレーションは観測結果と良く合うようである。

 論文に書かれていた細かい内容はほとんど理解できていないが、今日は「天の川銀河が100億年以上前から周辺の矮小銀河を取り込みながら成長してきた」と分かっただけで十分である。

P.S.
 上図は10/11のブログで示した いて座矮小銀河である。天の川銀河を過去3回も横切っている。どうも宇宙はどでかいばかりでなく、ダイナミックに動いているみたいである。