タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

地質学と宇宙線物理学が融合して気温変化の要因を解明

 Youtubeを見ていたら、興味深い動画があったのでブログに書き留めておく。

 上図は地質時代の気温の変化を示している。この平均気温の算出は、貝殻化石に含まれる酸素同位体(O18)の比率を検出することで得られた。水が蒸発する際、O18の重い水よりO16の軽い水の方が多く蒸発する。温暖な気候であれば、蒸発した水は全て海に戻るから、酸素同位体の比率は一定で変わらないのだが、寒冷期には氷河が発達するので、軽い水が氷河として地表に残り、その結果海では相対的に重い水(O18の水)の比率が高くなる。つまり、O18の比率の高い低いが平均気温の低い高いに対応することになる。
 この論文が出た時、このグラフで示される気温変化の周期性が何に因るものか分からなかった。地球はおよそ1.4億年の周期で寒冷期を経験していたが、こんな長周期の現象を説明できるものが見当たらなかった。
 この周期性の要因は意外な分野の研究から明らかになった。宇宙線物理の研究をしていた研究者が、地質時代の気温変化を表したこの論文を読んだことで、事の原因究明が一機に進むことになった。

 上図は天の川銀河を銀河北極側から見た図であるが、銀河が渦巻状であり、星が多くて明るく輝く「腕」と呼ばれるものが何本も螺旋状に巻いていることが分かる。この腕の部分では、新しい星が多く生まれる結果、星の密度が上がり明るく輝くし、超新星爆発も多く、爆発時の高エネルギーでガス雲も輝くので更に明るく輝く。
 以下の図は、太陽系が銀河系を公転する中で、銀河の腕を通過するタイミングを示しているが、過去4回の腕通過タイミングと過去4回の寒冷化時期が実に上手く符合する。

 宇宙線研究者の説明によれば、銀河の腕の中では、超新星爆発の頻度が上がるため、地球に降り注ぐ宇宙線量が増大する。宇宙線は大気中でエアロゾルを作るため、これを雲核として雲が発達し易くなり、結果地表へ届く太陽光量が減り、寒冷化が進むことになる とのこと。
 9/23のブログでは、2万年周期の地軸の歳差運動が寒暖周期の原因になるという話をしたが、今日の話は、それよりもっと長周期で、要因となる現象のスケールも各段に大きい。銀河内での太陽系の運動までもが気候に影響を与えているとは、いやはやびっくりである。

P.S.
 この動画を見ていて、新しい発見があった。何と太陽系は銀河中心の回りを、銀河北極から見て時計回りに公転している。一方で地球は太陽の回りを、北極星から見て反時計回りに公転している。両者の回転方向が逆なのである。こんなことが起こる要因は、原始太陽系が元々は天の川銀河とは別の矮小銀河の中にあって、その矮小銀河の中での回転方向のままで天の川銀河と衝突し吸収合併されたからだと思われる。両者の公転面の傾きを調べたら、何と60度であった。太陽系は元々よそ者で、天の川銀河と衝突した際その一員になった可能性が大であると思った。(以下の図は、太陽系が天の川銀河の銀河面を僅かな上下動で公転しながら、地球は銀河面に60.2度の傾斜角で公転していることを示している)

 今日はびっくりの連続であった。