タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

私の体は星の燃えかすでできている

 昨日は人体を構成する元素について話題にしたが、今日はその元素がいつどこで生まれたかを考えてみた。時は宇宙が誕生した138億年前まで遡る。
1.宇宙誕生時に物質(素粒子)はどのようにできたか?
 ビッグバンで誕生した宇宙が、誕生して 0.00001秒後にエネルギーレベルが1GeV程度まで下がり、クォークからハドロンへの相転移が起こり、物質と反物質対消滅を始めた。対消滅が終わると宇宙には、光子と陽子と中性子と電子と陽電子ニュートリノが残った。陽子と中性子対消滅で100億分の1になった。(逆に、光子、電子、陽電子ニュートリノは陽子や中性子に比べて100億倍の数でうじゃうじゃ存在する結果となった)。

 宇宙誕生の10秒後には温度が100億度以下に下がり、中性子がエネルギーの低い陽子に変化していった。この反応は陽子対中性子の数が7:1まで進んだところで止まり平衡状態になった。そして中性子は陽子と合体を始め、2個の中性子と2個の陽子が合体し1個のヘリウム原子核ができた。(→14個の陽子(水素原子核)と2個の中性子が、12個の水素原子核と1個のヘリウム原子核の比率になった。重量比率で言えば、水素原子核:ヘリウム原子核=3:1となった)。このようにして、宇宙誕生からおよそ3分後には、私たちのまわりにある全ての物質のもとが生み出された。
 昨日のブログでは、現時点で宇宙を構成する元素の比率(重量比率)は、H(水素)71%、He(ヘリウム)27%と書いたが、宇宙ができたばかりの138億年前は、H:He=3:1=75%:25%だった。
 私の体の10.1%を占める水素原子は、宇宙誕生時の138億年前にできていたことになる。
2.その他の元素はどのようにできたか?
 宇宙が誕生して間もない時には、水素とヘリウムしか無かった。人体を構成する主要元素である炭素も窒素も酸素もまだ生まれてなかった。これらの元素はその後、恒星の中で作られたのである。
 宇宙が誕生して数億年後に星が輝き出した。輝く星の内部では最初水素の核融合でヘリウムが作られるが、恒星の中心部にヘリウムが溜まり始めると今度はヘリウムが核融合を始める。

 上図はヘリウム2つが核融合して一旦ベリリウムが作られ、そのベリリウムとヘリウムが核融合して炭素が作られることを示している。大きさが太陽程度の恒星の内部では、このようにして炭素や酸素(炭素とヘリウムの核融合にて)が作られる。

 上図は、太陽程度の大きさの中小質量星の進化と元素構成を示している。中小質量星の内部では核融合で炭素や酸素が作られるが、それ以上核融合が進まず、最後は水素とヘリウムの外層を吹き飛ばし、炭素と酸素でできた白色矮星となる。一方で太陽より遥かに質量が大きい巨星では、核融合反応がどんどん重い元素まで進み、最終的には超新星爆発に至り、作り出した重い元素を宇宙空間に撒き散らして星の一生を終える。
 このようにして、人体を構成する元素で水素以外は全て恒星の中で作られたことになる。水素を核融合の燃料と考えれば、他の元素は全て核融合後の燃えかすであり、従って我々の体は星の燃えかすでできていることになる。