今日は昨日の続きで、新口動物から脊椎動物への進化を扱う。
上図は新口動物からの進化系統樹である。分岐点としてキーとなるのが脊索・神経管の獲得である。
上図は新口動物からの進化において、神経系が消化管に対し背側に現れるか腹側に現れるかで、脊索動物へ進化するか否かの分岐点になったことを示している。
上図は脊索動物であるホヤ(尾索動物)の幼生時の体の構造を示している。カンブリア爆発の中で、新口動物の中に脊索を有するものが現れた。脊索とは、神経管の下側を走る寒天質棒状の支持器官である。外胚葉から分岐した神経を中杯葉から分岐した脊索が支え、その下に内胚葉から分岐した消化管がぶら下がる形になっている。
脊索動物において、脊索形成過程にはBrachyury遺伝子(T-box転写因子)が必須であることが明らかになっている。この遺伝子が神経管の下部に脊索形成を誘導する形で脊索ができる。
この脊索動物の中で脊索を脊椎にまで進化させたものが脊椎動物である。
上図はヒトの脊椎の構造を示す。脊索動物においては、神経管を包むように保護し,かつ体を支持する目的で脊索が生まれたが、脊椎動物では、この脊索の回りの細胞が骨組織化し、神経管の保護と体の支持に加えて、上半身の運動や肋骨との組み合わせによる内臓の保護を可能にした。
上図はホヤ成体の体内構造である。ホヤは脊索動物であるが、脊索を有するのは幼生期のみで成体になる頃には脊索は消滅する。海中の岩に固着しながら貝のような殻をまとい生きるホヤではあるが、進化の系統樹から見ると、ホヤは、カニやエビよりも、タコやイカよりも、そしてウニよりもヒトに近い生物になる。