タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

動物の進化(その2)

 今日は昨日の続きで動物の進化後半である(昨日は三胚葉動物まで説明)。ただ後半を始める前に昨日説明した前半部分を「分子進化」の観点から振り返っておく。
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 昨日、『多細胞化した頃には、細胞間で協調して生命活動を行うために必要となる遺伝子はほとんど揃っていた』と書いた。ここで遺伝子がどんな働きをするかという観点で分類すると以下のようになる。
 1. 構造蛋白質をコードする遺伝子
 2. 酵素蛋白質をコードする遺伝子
 3. 遺伝子の発現する部位や時間、発現条件等を調整する遺伝子
多細胞化した時、これらの基本的な機能を発揮できる基本遺伝子はほとんど揃っていたと考える。ここで基本遺伝子とは、例えば視覚においては、光に反応する蛋白質をコードする遺伝子が少なくとも1個あったということを意味する。これは、色んな波長の光に個別に反応する遺伝子群の全部は揃っていなかったが、光に反応する少なくとも1つは確実に存在していたという意味になる。
 時は約6億年前、このような基本遺伝子が準備された中でカンブリア爆発が起ころうとしていた。カンブリア爆発とは、古生代カンブリア紀、およそ5億4200万年前から5億3000万年前の間に突如として今日見られる動物の「門」が出そろった現象である。
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5.新口動物と旧口動物への分岐
カンブリア爆発はどのように生じたか>

 三胚葉動物が新口動物と旧口動物へ分岐する過程でカンブリア爆発が起こった。何故この時期に起こったのであろうか? 以下は私が考えた理由である。
 ・三胚葉動物への進化で骨格を備え大型化した動物が増え化石として残り易くなった
 (以前から種族の多様化が進んでいたが、化石として残り難くかったため、この期の多様化が爆発のように見えるだけ)
 ・眼の進化、脳神経系の進化が弱肉強食環境を作り出し自然淘汰を加速させた
 ・この時期に遺伝子重複や全ゲノム重複が行われ、基本遺伝子の数を増やしながらコピー遺伝子のマイナーチェンジが進み、遺伝子の多様性拡大と形質多様性拡大が同時に進んだ。(昨日のブログで「約5億年前に生じた2回の全ゲノム重複により、ヒトのゲノムサイズは4倍になった」と説明)
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 新口動物と旧口動物の違いは、原口が肛門になるか口になるかの違いであり、分岐した時点では、この違いは両者に大きな違いを産み出すものではなかった。3/3のブログでは「エビやカニやウニは何故おいしい」という話をしたが、エビとカニ節足動物で旧口動物に分類されるが、ウニは棘皮動物で新口動物に分類される。「エビとカニとウニでヒトに一番近い動物は何?」と質問され、「ウニ」と答える人はまずいないだろう。旧口動物に対し新口動物が大きく異なる原因となるのは脊索の獲得であるが、この脊椎動物への道は明日のブログで説明することにする。