タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

動物の進化における「骨」の意味

 先週は動物の進化について考察した。
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 我々ヒトを含めた脊椎動物と非脊椎動物との進化の分岐点は脊椎を有するようになったか否かであった。また、脊椎の原型は脊索であり、この脊索骨化した周辺細胞を備えておらず、体を支持したり保護する機能が不十分であった。今日は「骨」が進化の中でどういう意味を持ったかについて考えた。
 3/17のブログでは『新口動物旧口動物の違いは、原口が肛門になる(新口動物)か、口になる(旧口動物)か の違いであり、これ自身は、両者に大きな違いを産み出すものではなかった』と書いたが、内部では大きな違いが生まれようとしていた。今日のテーマである「骨」が生まれようとしていたのである。
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 上図はウニの発生の中で原腸胚期から幼生になるまでを示している。ウニはヒトと同じ新口動物であり、節足動物や軟体動物を含む旧口動物とは異なるグループに属している。ウニは、⑩原腸胚後期に中胚葉に骨片が現れ、⑫プルテウス幼生期では、中胚葉から分化した骨片が骨格へと成長する
 中胚葉から分化した骨細胞の出現は進化の大きな分岐点となった。旧口動物である節足動物(昆虫類や甲殻類)は、体の支持と保護のため外骨格を有するが、これは外胚葉から分化した皮膚細胞が硬化したものである。外骨格動物は大型化できない。この理由は、外骨格動物においては、それを動かす筋肉を骨格内部に納めなければならず、自ずと筋肉量が限定されてしまうからである。一方で新口動物は、中胚葉から分化した内骨格を有する動物として、大型化可能な方向へ進化したことになる。
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 上図は骨細胞の種類を示す。骨細胞の中には破骨細胞があり、古い細胞を壊し新しい細胞に新陳代謝しながら成長することができる。

P.S.
以下は破骨細胞の概要である。造血幹細胞から破骨細胞が分化するとは驚きである。ただ、どちらも中胚葉から分岐する組織(循環器系も骨格系も中胚葉から分岐する)だと考えれば不思議ではない。近いうちにこの辺りも調べて明らかにしたい。
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