タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

脊椎動物と無脊椎動物の分かれ目

 ここ最近、動物の進化に関する調査を進めている。今日は脊椎動物無脊椎動物の進化の分かれ目となったものについて考えてみた。
 上表は脊椎動物無脊椎動物の違いを示す。中学校の理科では、脊椎動物無脊椎動物の違いは脊椎が有るか無いかであると習った。もちろんこの違いは、両者を分類する基準となるもので一番明確な違いである。
 3/22のブログでは、進化における「骨」の意味を考え、脊椎を持つように進化した脊椎動物内骨格動物として大型化が可能な方向へ進化したと書いた。
 2/14のブログでは、脊椎動物のみが自然免疫に加えて獲得免疫も有する動物へと進化したと書いた。
 神経系については、下図に示すように、脊椎動物が脳を含めた中枢神経を発達させた動物として進化している。ここで注目すべきは、無脊椎動物における中枢神経系が左右2本のはしご形神経系である点である。

 さて、今日のテーマである「脊椎動物無脊椎動物の進化の分かれ目」とは何だったのであろうか?

 上図は3/18のブログで示した図であるが、神経管と消化管の位置関係を示している。私はこの位置関係が脊椎動物無脊椎動物の進化の分かれ目になったと考えている。
 今から約6億年ほど前、神経管を発達させ、感覚器からの情報を筋肉に伝達して素早く動き回れる動物が出現した。節足動物の祖先である。この頃の動物が住んでいた環境は海中であり、神経管は消化管の下で安全な海底側に発達した。そして敵が多い背側には外骨格が発達した。
 その後数千万年の時を経て、消化管の上に(背側に)神経管を有する動物が現れた。脊椎動物の祖先である。危険な背側にある神経管は保護する必要があった。この祖先は、神経管を脊索で保護する形で進化し、その後この脊索の周囲の細胞を骨化し脊椎へと進化させた。
 このようにして脊椎を有する動物へと進化した結果、この脊椎の中に一本化された神経管(脊髄)が脳の発達を促進した。また内骨格を有する脊椎動物は大型化が可能になり、特に陸上へ進出後の大型化においては、浮力が使えず体を支えることも困難になる無脊椎動物を圧倒した。
 さて、今日の私が考える結論は「神経管と消化管の位置関係が脊椎動物無脊椎動物の進化の分かれ目となった」だが、この分かれ目が免疫系の違いも産み出したかどうかは分からない。ただ、骨格系と免疫系は同じグループであり、造血幹細胞からは骨細胞も分化すれば免疫細胞(白血球や抗体)も分化する。すなわち、骨格系の進化と免疫系の進化は共に発達する可能性は十分あり、従って「神経管を消化管の上に有するようになったことが、年月を経て、脊椎動物だけが獲得免疫を有するように進化できたきっかけとなった」可能性が十分ある。