タテよこ斜め縦横無尽

田舎の年金暮らしのたわごと

辛いは味覚に入らない

 昨日はエビ・カニ・ウニの味覚についての話だった。味覚には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味と5種類あるが、辛味が入っていない。辛味とは、どうも舌・口腔で感じる痛覚あるいは温覚のようである。昨年のノーベル医学生理学賞は「温度や圧力を感じるしくみの解明」であった。今日はその辺りを調べてみた。
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 上図は、温度センサーの仕組みの解明に至った実験要領を示している。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のデービッド・ジュリアス教授は、神経細胞で働く遺伝子の中から、細胞表面にカプサイシン受容体(TRPV1)を合成する遺伝子を特定し、このTRPV1が辛味成分を痛いと感じると同時に、温度にも反応することを実験で示し、痛いと熱いが同じ仕組みで生じることを解明した。
 温度を感じるセンサーはTRPチャネルと呼ばれている。
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上図はTRPチャネルの種類とそれぞれの活性化温度と活性化物質を示す。辛味成分には色々あるが、ワサビのように低温でも良く効くものもあれば、カプサイシンのように高温でしか効かない(冷やせば治まる)ものもある。このTRPチャネルは温度センサーであり、かつ辛味成分検知センサーであるから、辛味を抑えたい時は温度を下げれば良いということになる。