植物の生き残り戦略

 昨日採って来た蕨をアク抜きした。蕨を大量に採って来ると後が大変で、アク抜きのため、大鍋4つにお湯を沸かして重曹を入れ、ほど良く冷ました後に蕨を入れ、アルミホイールに切れ目を入れて落し蓋とし、一晩そのまま寝かした。
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 写真は、アク抜き後水切りしている状態の蕨である。後処理作業の中心はもちろん妻であり、戦いに例えるなら、作戦を掌握した大将自ら最前線で働き、私は指示を受けて後方支援をする兵たん部隊となる。作業を手伝いながら "アク" の意味を考えた。
 ワラビなどの山菜に含まれるチアミナーゼは味をそこなうだけでなく、ビタミンB1を分解する作用があるため、多く摂取すると脚気を引き起こす。山菜には人間にとって有害なアルカロイド類が含まれ、アク抜きせず食べ過ぎると吐き気を催す。
 馬では、ワラビ中のアノイリナーゼによって体内のビタミンB1が破壊されて、チアミン欠乏、多発性神経炎がおこる。牛のワラビ中毒では馬の場合と違い、ワラビの中毒成分であるプタキロサイドによって造血臓器とくに骨髄の機能が障害され、再生不良性貧血や、血液凝固不全をおこす。
 「蓼(タデ)食う虫も好き好き」ということわざがあるように、蓼には独特の香りと辛味が有り、一般の虫は蓼を食べない。また、家庭菜園をしていると分かることだが、キャベツやブロッコリーのような生でも食べられるアブラナ科の野菜は害虫も大好きであり、一方でほうれん草のように茹でてシュウ酸を抜かないと食べられない野菜は、害虫にもやられにくい。
 このように、蕨を含めて植物は、動物に食べられないようにと、自らの体内に苦みや辛み成分、あるいは毒素を産生するように進化した。植物ばかりではない。カビ類は微生物との戦いの中で抗生物質を産生するように進化したし、蝶や蛾は鳥類から捕食されないよう鱗粉で翅を覆っている。
 我々人類は、このような生物界の生き残りを賭けた戦いの現場で生きている。ただ、敵ばかりでなく味方も沢山いるし、4/27ブログの腸内フローラでも書いたが、ほとんどが "日和見菌”であり、上手く付き合えば共存共栄ができる共同生活者なのである。しかも人類の知能は ”アク抜き” という技術を発明し、加えて、苦みや辛み成分の混入を ”醍醐味”として おいしい と感じるように進化した。この進化の恩恵を有効に生かせば良いのである。ただ油断は禁物だ。進化の恩恵に漫然と浸っていると、飽食のツケとして生活習慣病に苦しむことになるからだ。